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元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
大統領→女王戦
2016/11/10(木)
皆様、こんにちは!アメリカでは大統領選挙が行われヒラリー・クリントン 対 ドナルド・トランプの対決が大きな話題を集めました。トランプ氏は過激な発言を持ち、The アメリカ!!という発言を繰り返していることからも、少なからず日本への影響もありそうだなとテレビを見ていました。ヒラリー氏が当選すればアメリカ史上初の女性大統領となること、そして夫婦での大統領就任とこれまた凄いことでしたが……。そんな大注目の選挙は、大接戦の末に下馬評を覆したトランプ氏が勝利。歴史的な変化が起こりそうな気がしてなりませんが、それが良き改革となることを願うばかりです。
それでは先週の競馬を振り返りましょう。注目を集めたレースとして、やはりファンタジーSから振りかえるしかありませんね。怪物フランケルの子供としても注目を集めたミスエルテが、ここでも怪物じみた強さで勝利しましたね。レースはスタートで後手を踏み、出遅れる展開に。しかし、馬の力を知っている川田君は焦ることなく、冷静にポジションを取ると、デビュー戦で見せたような若さ満開のレースから、競馬をしていたように思います。そして、迎えた4コーナーでは鞍上がうながすと、後は才能が違うとばかりに全ての馬を抜きさり、見事な勝利を収めました。今回もノーステッキでの圧勝という結果だけでなく、後ろから折り合う競馬をして、更に勝ちきれたことは大きな収穫になったと思います。池江厩舎はこれで3週連続の重賞制覇となりましたね。
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日曜日に東京で行われたアルゼンチン共和国杯は、まさに大魔神祭りとなりました。妹ヴィブロスと秋華賞を勝った福永君と共に、次は兄のシュヴァルグランが休み明けも何のそのという強さで勝利しました。最大斤量を背負い、尚且つ、休み明けの分もありながらの勝利でしたからね、これは本番でも大注目です。そして、②着にはアルバートが入りました。こちらは、夏の勢いが落ちてきた戸崎君でしたが、少しらしくない騎乗となった気がしました。勝ちに行くというより、安全に乗ってきたような印象を受けましたね。③着にも大魔神の持ち馬ヴォルシェーブが入りましたね。こちらは脚に爆弾がある馬だけに、騎乗したミルコも少し気にしながらのレースになったような気がしました。この3頭はいずれも、この秋競馬の主役になるうる馬だけに注目していかなくてはと思います。

今週は秋のG1シリーズが戻ってきます。そうです、エリザベス女王杯が京都競馬場で行われます。残念ながら先に記述したヴィブロスの出走はありませんでしたが、最強女王決定戦は非常に面白い戦いとなりそうです。まずは連覇を狙うマリアライトに注目が集まるでしょうね。そして、この馬の狙いは馬場にあると思っています。今週は雨が多く降っていることもあり、少し緩くなった馬場ならば、連覇は濃厚ではないかと思っています。しかし、現在は非常に管理が行き届いているため、馬場情報を確認する必要があるとも思っています。
休み明けで本番となってしまったミッキークイーンも怖い一頭です。力は女王そのものといった強さがありますし、勢いに乗っている池江厩舎だけに目が離せません。その他にも久々ではありますがムーアという魅力タッチングスピーチに、育ててきた相棒を新の女王にクイーンズリング、3歳馬の意地パールコード、私が注目しているシャルールからも目が離せません。牝馬は難しいところがありますが、それを熟知したベテラン騎手の凌ぎあいを楽しみにしています!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。