元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
美味~勝利の美酒~
2017/4/26(水)
皆様、こんにちは!久しぶりに、我が家特製のモツ鍋を食べて、元気いっぱいになった松田です。しかし、美味しいものを食べると、人は何歳になっても幸せや喜びを感じられますね。味覚というのは大変面白いもので、誰と食べるや、どんな映像を見ながらでも変わってきますし、気持ちの面でも変わるんじゃないかなと、ふと思った週でした。最近はテレビを見ながらも、孫の写真を見て笑顔になりながらのご飯をしているので、いつもよりも食べすぎることが悩みなんですけどね(笑)。
それでは先週の競馬の話をしましょう。京都ではマイラーズC、東京ではフローラSが行われました。マイラーズCは味覚ではないですが、勝利の味を忘れかけていた名馬イスラボニータが見事な走りで2年7ヶ月ぶりの勝利の味を手にしました。レースは外枠にもかかわらず、道中から馬の癖を知り尽くしたルメールが内へ入れると、4コーナーでは制御不能になっていたフィエロがタレていくのを見逃さずに、すぐさま外へとコースを取り、見事勝利しました。勝てる能力があるにも関わらず、長い間勝てなかったのは不思議でしたが、今回の勝ちで一気に流れを取り戻すかも知れません。マイル界の新たな刺客誕生に、混戦が予想されるマイル界は、予想する方からすればまた難しくなったと思います。
②着にはエアスピネルが入りましたね。今回はいつもよりも落ち着きが見られましたし、精神的な成長が見られた一方、能力的には去年ほど良いなと感じなくなったのも事実です。今回は得意の京都で相手はG1ホースと言うこともありますが、4コーナーのポジショニングの差とはいえ、それでも少しガッカリする結果となってしまいました。
しかし、今回はフィエロがレースを壊してしまいましたね。前走の1200mを使ったことで、いつも以上に掛かるようになってしまい、騎手としては何もできないという感じだったと思います。直線で右往左往したのも良くありませんね。あそこまで行ってしまえば思い切ってレースを壊さない努力をしなくてはいけなかったのですが、鞍上も予想以上に何もできない状況だったのでしょうね。力はあるだけに、何とか重賞をという願いは、またまた遠くになってしまいました。それでも、色々な挑戦をしなければつかめないものもあります。だからこそ、今回の挑戦は失敗だとしても、挑戦したことが大きかったと思います。もちろん、それで最後にレースを壊してしまったことは反省点ですけどね。
今週から6週連続G1という日々が始まります!そのスタートとなるのが今週末に行われる天皇賞(春)ですね。3200mの長丁場の戦いの本命はキタサンブラックとサトノダイヤモンドのどちらかになるのでしょう。今回はサトノノブレスがいないだけに、力対力での勝負となりそうです。しかし、穴党の私からすれば、力はこの2頭でしょうがそれでは面白くないと思っています。そのため、今回は違う馬に注目したいと思います。
その筆頭はアルバートですね。得意の長距離路線で活躍してきた馬ですし、堀厩舎の仕上げにも注目したいです。斤量が気になりつつもシャケトラも力は十分だと思っていますし、シュヴァルグランも得意の長距離戦でどこまでやれるのかに注目していますし、レインボーラインも絡んでくるかもしれませんね。最強の2頭が負けることは考えられませんが、何があるか分からないのが競馬!皆様の週末が、素晴らしい美味であふれますように!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。