元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
馬に親しむ
2017/5/4(木)
皆様、こんにちは!先日、地元栗東では馬に親しむ日が開催され、孫と共に顔を出してきましたよ。馬に親しむ日とは、栗東の乗馬苑で行われるイベントで現役の騎手が参加したり、ポニーに騎乗できたりと多くの催しがありました。そんなイベントを見ながら、乗馬を習っている孫は「ポニーは余裕」といった顔で騎乗しているのを見て、成長の速さと共に孫が馬に乗る姿をしっかりと見てきました。その他には他県のナンバーがついた車も多く見られ、改めて競馬人気が上がってきていることを実感し、本当に嬉しくなるイベントでした。
それでは先週のレースを振り返りましょう。まずは、なんと言っても京都競馬場で行われた天皇賞(春)ですが、見事キタサンブラックが連覇を決めましたね。しかも、レコード付きの勝利となり、オーナーも「レコードを出すのは私の仕事なんですけどね」とジョークまで飛び出しました。レースはスタート直後からヤマカツライデンが大きく離れた逃げを打つなか、冷静に2番手をキープしたキタサンブラック。そのまま4コーナーでは逃げるヤマカツライデンをとらえると、足が上がりながらも後続を突き放す強さで見事な勝利を収めました。まさに圧巻と言うほかにない強さでした。この勝利でも、冷静なペースメークをした豊ちゃんの匠な技術が光ましたね。一流と一流のコンビはどこまで勝つのか、非常に楽しみです。
②着にはシュヴァルグランが入りましたね。去年の失敗を取り返すどころか完璧な騎乗を福永君はしたと思います。ただ、相手が悪かった。その一言ではないでしょうか。③着にはサトノダイヤモンドが入りましたね。こちらは、やはり距離の壁を素質でカバーするには限界がありましたね。しかし、現日本競馬界での2強として、面目を保つレースだったと思います。そんな2強の凱旋門賞出馬の意思も出てきましたし、日本の最強馬タッグで、夢の凱旋門賞を制してほしいと思います。
そして、先週のもうひとつの衝撃は青葉賞のアドミラブルです。スタートでぶつけられる不利があり、後ろからの競馬となってしまいましたが、鞍上のミルコも馬の強さを信じて乗っていましたね。早めに仕掛けだすと、早々と先頭に立ってからも突き放す怪物ぶり。ドゥラメンテとは、また違った衝撃を与えられました。遅れてきたダービー候補がしっかりと結果を残したことで、本番がさらに楽しみとなりましたね。皐月賞馬アルアインにダービーを見据えたレースをしたスワーヴリチャードにレイデオロ、そしてペルシアンナイトにサトノアーサーと、それぞれが違った角度から頂点を目指してくるダービーはまさに混戦。運命の5月28日が、もう待っていられないくらい楽しみとなりました。
G1ウィークはまだまだ続きます。今週は東京競馬場でNHKマイルCが行われます。毎年、少し小粒になるメンバーのなかで、まず注目したいのはアウトライアーズですね。皐月賞は惨敗となりましたが、もともとの狙いはこちらだったのではないでしょうか?確実に使える脚に人気が落ちれば、田辺マジックの炸裂があるかもしれません。折り合いさえ決まればモンドキャンノも侮れません。こちらは、早々と折り合い名人ルメールを配置したことからも勝負気配がプンプンします。その他には、前回のレースで距離の心配を無くしたカラクレナイやアエロリット、負けた相手が皐月賞②着馬と言うことからも自信をもって出てくるレッドアンシェルあたりの勝負になるのではないでしょうか。
競馬場でもポニーに会えますので、ぜひ皆様、競馬場で馬に親しむ日をしてもらい、生観戦を楽しんでみてください!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。