元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
驚異の3連勝
2017/5/31(水)
皆様、こんにちは!今週は衝撃的なニュースから始まりましたね。日本女子ゴルフ界の女王といっても過言ではない宮里藍選手が引退を発表しました。彼女のプロ人生の半分はアメリカでのツアー参加となり、かなり過酷だったと思います。環境の違い、言葉、数々の困難を、彼女は当たり前のようにこなしてきて、そして結果を出してきました。そんな彼女も体と心が限界だったのかなと思います。少し早く、悲しいですが、これもまたプロの選択。そして、相撲界では3場所連続で大きく勝ち越しを行い、とうとう高安関が大関へと昇進しましたね。前回の稀勢の里関の横綱昇進といい、日本人力士が力をつけ、活躍するのは非常に日本人としても嬉しい限りです。外国人力士が力を見せつける中で、日本人力士の活躍はどうしても応援したくなります。
相撲と同じで、競馬界でも外国出身騎手の活躍が目立ちます。先週、クリストフ・ルメール騎手が3場所連続勝ち越しならぬ、3週連続のG1勝利で日本ダービーを制覇しました。外国人騎手としては2人目の快挙で、3週連続G1制覇はフランスの先輩オリビエ・ペリエ騎手に次ぐ記録となりました。
レースはスタート直後、すぐに迎える1コーナーにどの馬が行くのかと思いましたが、典ちゃんとマイスタイルがハナを切る展開に。その様子を見て周りのメンバーは、このレースはスローになると思ったと思います。しかし、G1の競馬場からの帰りのように、前が進まず、追い越し車線もない。すると必然とスローになりますよね。迎えた向正面ではレイデオロとルメールが思いきってマクリを行いました。
レイデオロをマークしていたアドミラブルも続いて行こうとした時、ペルシアンナイトが引っかかるような形で出てきました。アドミラブルにとってはここが一番のポイントでしたね。この形でついて行こうとすれば、4頭目より外になると、直線でもかなりのロスがありますからね。本当に一瞬のことですが、この展開が結果的にレイデオロを楽にしました。そして迎えた直線でも1番人気に推されたアドミラブルが内から被害を受ける程の斜行がある中、一息いれたレイデオロが更に引き離し、余裕の勝利となりました。
どこかのコメントで見たように、普通ならば止まるような競馬だったのにもかかわらず、後ろを引き離したのは、この馬の心肺機能の高さだったと思います。②着に入ったスワーヴリチャードも見事な競馬でしたね。ロスなく進め、直線でもこれなら!と思ったでしょうね。上位2頭は皐月賞をまるでトライアルのように行い、ダービー狙いだったのが、まさに実を結んだようなレースでした。③着のアドミラブルは、不運が重なりましたが、力は見せましたし、今後、この中で一頭未来のスター候補を選べと言われれば、この馬を選びたいと個人的に思います。
さて、5週連続G1も大詰め!今週末には安田記念が東京競馬場で行われます。まず、本命になるのは、ここでもルメールとイスラボニータになるのではないでしょうか。勝ちきれないレースが続いていましたが、前回とうとう結果を出したことで馬自身の自信が戻っていれば4週連続G1もあるでしょうね。しかし、そう簡単に本命のルメールばかり勝たせる訳にはいかないと他の騎手達も意気込んでくることになるのではないでしょうか。
まず、その筆頭には豊ちゃんとエアスピネル、アンビシャスやレッドファルクスも虎視眈々と、勝利を狙っています。その他にも香港からの刺客が2頭も参加します。雷神モレイラにパートンと香港のトップ騎手2人が参加する今週末の競馬。G1だけでなく、他のレースも楽しめそうですよ!今週からは、来年のダービーを目指して新馬戦もスタート。楽しみ盛りだくさんの週末は是非、競馬場へ!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。