元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
諦めずに続けること
2017/6/7(水)
皆様、こんにちは!我が巨人軍の11連敗に心折れそうになっている松田です。しかし、これも未来への投資と考えれば、まだやれると信じています。負けが続くと、どうしても、もうダメではないのだろうかと思ってしまいますよね。それは競馬でも同じことがいえるんです。ファンの方からすれば、戦う度に負けると、もうこの馬は終わったと言う判断をよくされるのですが、それでも厩舎スタッフがレースに出すということは馬の力はまだ通用するはずと調教方法を変えたり、レースでも試し、そして本番で結果を出すということもあります。だからこそ、敗戦を意味のある敗戦にすることが必要なんです。
さて、まさに意味のない敗戦ではなかったと、結果で見せつけたのはサトノアラジンと川田君でした。連続G1週の最後を飾る安田記念で、今までの鬱憤を晴らすかのようなレースで、見事勝利をあげました。若い時から、この馬はG1を取ると言われ続けていましたが、ようやく実になったレースでしたね。それは、去年のロゴタイプのように、G1ではもう無理、力が足りないと言われていても、あきらめずに挑戦した関係者の努力の賜だったと思います。
レースは、スタート直後に行く馬がいないのを見ると、すぐに田辺君とロゴタイプが動きハナを取りました。この動き一つで、直線は混むかもしれないと感じたのですが、案の定、全馬が横並びになる展開となりました。そんな中、お構いなしに大外へと回ったサトノアラジンが逃げ粘るロゴタイプをとらえて見事な勝利をあげました。惜しくも②着に敗れたロゴタイプも、去年の覇者として堂々たるレースだったと思います。前半のあのペースで他馬が脱落する中、一頭、引き離していましたからね。
③着に入ったレッドファルクスも素晴らしいレースでしたね。4コーナー手前では外に張ったサトノアラジンを見ると、その大外を通る不利をさけるために内に潜り込むと、直線では前が開かない不運はありましたが、そこからミルコの対応が素晴らしかった。手前を替え、外に出すのと同時に加速をさせ、最後はロゴタイプに迫る走りを披露しました。やはり最後は脚が上がってしまいましたが、それでもスプリント王がマイルでもこの走りができると分かったのは、非常に大きな収穫だったと思います。
残念だったのはエアスピネルとイスラボニータですね。エアスピネルは4コーナーでレッドファルクスに入られたこと、そして直線でディサイファの内をつけられていればというレースでした。イスラボニータはトライアルではルメールのおかげで勝てた、そして今回はルメールだから負けたというレースになってしまいましたね。G1・4連勝がかかっていたレースで1番人気を背負ってのレース。それを考えれば、マークを背負うべくして背負って、そして行き場もなく負けてしまったというところでしょう。オークスのように人気になっているにも関わらず、ノーマークでいけるレースもあれば、このように何もできないこともあるのが、まさにレースは生き物と呼ばれるところ。しかし、力負けではない両頭には、今後も評価を落とさずに見ていかなくてはと思います。
G1は一休みも、競馬に休みはありませんよ!今週も東京競馬場と阪神競馬場では、G3競走が行われます。まず東京では秋のG1戦線の登竜門エプソムCが行われます。人気を集めるのはアストラエンブレムでしょうね。血統的にも注目が集まる馬ですが、前走はハンデ戦で斤量差2.5キロ軽かったタイセイサミットに負けてしまいました。ゴール前を見ていても、能力はアストラエンブレムとみて間違いなさそうですが、一頭になった時にやめてしまうところがあり難しい馬のようですね。
そうなると、他馬と展開の味方が必要になってくると思いますが、勝てば何かが変わる一戦になるかもしれません。そして、その他にも復活してきたクラリティスカイや逃げたらしぶといマイネルミラノ、ハマれば切れ味抜群のヒストリカルなどもおり面白いレースになりそう。まさにハマったものが勝つメンバー構成に、予想する方も難しいレースだと思います。
阪神では名物ハンデ牝馬重賞マーメイドSが行われます。こちらはマキシマムドパリとトーセンビクトリーが少し抜けているように見えますが、復活が望まれるビッシュやクインズミラーグロからも目が離せませんし、私のイチ押しはバンゴールです。馬券も負け続けて実を結ぶことがあります。無理はせずに皆様らしい予想で、見事勝利を勝ち取ってください!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。