元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
雨
2017/7/19(水)
皆様、こんにちは!各所が雨で大きな被害を受ける中、栗東の方でも週末には、急なゲリラ豪雨に見舞われた週となりました。その上、雷までもが鳴り続けていましたからね。そんな栗東にいた私ですが、ネットニュースでは騎乗停止中の小牧太騎手が、特に被害の多かった九州へとボランティアに出かけたといった記事を見ました。この間の騎乗停止明けからすぐの騎乗停止と言うことで、追加の制裁となってしまいました。それを受け、自分自身で動かなくてはいけないと、そして休みのほとんどない騎手にとって長期休暇となるだけに思い切って行ったようでした。この事は非常に素晴らしいと思いましたね。こういったベテランが新たな形での社会貢献を見せることで、若い騎手の精神も育っていってくれたらと思いました。
まずは先週の競馬の中で気になったのが、土曜日函館4レースです。直線で先頭に立った池添謙一君とシャーロックでしたが、外から交わされ、ゴール手前で腰をあげた瞬間に②着のポジションから③着に変わってしまいました。勿論、馬の脚が上がっていたのは見えていたので、あげたところで順位の変更はなかったかも知れません。しかし、これで戒告のみの採決内容は理解に苦しみますね。腰をあげた後に順位が変更したとなれば、ましてや②着と③着といった馬券対象の中での順位変更でしたからね。
以前、川島騎手は④着と⑤着で同じようになった時に罰金10万円というのを見ると、今回と前の川島君では、何が違かったかを発表してもらいたいですね。人を見て変わる採決内容に対して、何が公正競馬だと個人的には感じてしまいました。こう言ったことを見ると、本当に採決もレースに乗ったことがあるものが採決員になるべきだと思いますね。もしくは、採決した理由や内容を表示するようにして欲しいと思います。
さて、そんな函館では函館記念が行われました。1番人気にはG1馬サトノアレスが選ばれましたが、見せ場なく終了する中、手応え抜群で外を回っていたルミナスウォリアーと柴山君が見事差し脚を決め、勝利しました。馬にとってはやっと掴んだ重賞勝利になりましたね。そして、②着にはタマモベストプレイ、そして私の推奨馬ヤマカツライデンが残る展開となり、馬券としては大荒れな競馬となりましたね。これも雨と洋芝適性が出たレースとなったと思いますね。
1番人気のサトノアレスにとってはギリギリの距離だっただけに、内で我慢し、勝負所で外を回す時には手応えがなかったことからも、雨の重い馬場では2000mは長すぎたといったところでしょうね。2番人気に推奨されたステイインシアトルに関しても同じことがいえるかも知れませんね。こちらは距離よりも何より馬場だと思います。馬場適性も難しい予想となったレースですが、自然の中で生き物と共に行うレースだけに、これも含めて競馬ということをファンの皆様には納得してもらいたいと思います。
今週は中京・福島・函館が夏最後の競馬となります。中京では中京記念、函館では函館2歳Sが行われます。中京記念では前回、驚異の末脚を見せたブラックムーンが1番人気に推奨されるでしょうね。特に中京競馬場は最終日を迎えても高速馬場だけに、今回も素晴らしい末脚を見せてもらえたらと思います。その他にも終いの競馬と言えばグランシルクも見応えがありそうですし、天気が荒れればケントオーやダノンリバティも楽しみな一頭です。夏、最後の中京競馬に是非、足を運んでみてくださいね!どうか、雨はしばらくお休みを願います!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。