
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
瀬戸際からの
2017/10/11(水)
皆様、こんにちは!昨日行われたサッカー日本代表の対ハイチ戦は見ましたか?最近の私が見た中で、最もひどい試合に見えました。新メンバーを試す一戦ではあったのですが、ここまで崩れてしまうのかという悲壮感と改めてトップ選手とのクオリティの差をまざまざと見せつけられたような試合でもありました。特に守備陣に問題があったように思います。中盤でのプレッシャーといい、どこか選手達には生き残らなくてはという思いよりも、ミスなくこの試合を楽に勝ちたいという油断のような気持ちしか見えなかったです。新戦力の発掘が、あわや世界に日本メンバーの質の薄さを見せつける内容となってしまいました。このメンバーを再度試すのか、それとも更なる新戦力の発見に挑むのか、ハリルジャパンとしても、これは瀬戸際だと思います。
さて、3日間競馬では、順調になかなか使うことができず、瀬戸際に立っていたリアルスティールが毎日王冠で見事に存在を見せつける勝利を挙げました。この勝利は当馬にとっては本当に大きなものとなりましたね。馬を持っている会員様としても、順調に使えない上に結果が出ないことで、もう引退かなとすら頭にはあったと思います。そう言ったイメージを全て払拭するような勝利は、まさに大きな大きな勝利だったと思います。ましてや、相手も超G1級の中での勝利ですから、種牡馬になるにしても、これほど大きな勝利はなかったと思います。
レースは、パドックから発汗が目立ったソウルスターリングがゲートで何度も出ようとしては止められ出ようとしては止められを繰り返した結果、出遅れる形になり、その後も少し出すと引っかかる形でハナを奪いました。ペースとしては、このメンバーならば早すぎず遅すぎずの中、4コーナーではすでに手応えが怪しくなっていました。それを見る形でマカヒキをはじめ、多くの馬たちがレースを作っていましたが、引きずられる形で下がっていきました。逆にソウルスターリングを目標にせず、自分のレースに徹底した2頭のG1馬サトノアラジンとリアルスティールが外から伸びてき、激しい叩き合いの末、リアルスティールの復活勝利となりました。

②着のサトノアラジンも非常に良い競馬をしました。そして、新しい距離に対しても対応できるということもわかり、得るものの大きかったレースになったと思います。トライアルとしては、こちらの方が多くを得たと思います。目的がはっきりと別れた2頭がお互いの結果で納得したレースとなりました。1番人気に推奨されたソウルスターリングは、ここは前哨戦といえど、物足りない結果となりましたね。牝馬同士の戦いでは無双していても、やはり年上のお兄さん達と走れば、厳しい結果もあると思っていましたが、やはり甘いものではなかったですね。しかし、名門・藤沢和厩舎のことですから、次は万全のレースをしてくれることを期待していたいと思います。

今週からはとうとうG1ウィークの本格的な始まりになります。秋G1の第2戦は牝馬クラシック最後の秋華賞が行われます。桜花賞を制したレーヌミノル、別路線で結果を出しマイルG1を制したアエロリット、その他にもトライアルを激走したラビットランやディアドラ、そこにクラシックを戦ってきたファンディーナやモズカッチャンなど、力が横並びのG1レースになりそうです。こうなると、非常に大事になってくるのが枠順と並び。その並びによってもペースが変わり、また展開に左右されやすい馬にとっては、非常に神頼みなレースになりそうな気がします。
その中でも私の注目はアエロリットですね。この馬のみといっても過言ではないくらい枠にとらわれない馬だと思っています。そして京都の内回りと条件が揃っていますからね。その他にはファンディーナの復活にも期待したいですね。あとは使い詰めでも力を発揮しているディアドラや叩き良好なモズカッチャンに注目しています。コースとしては3コーナーから4コーナーに入る形が非常に重要になる内回りコース。果たして、運を掴み女王の王冠を掴むのはどの馬か!秋の京都へおいでやす!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。