元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
これが世界一の騎乗
2017/11/29(水)
皆様、こんにちは!世間は日馬富士関の事件一色となっていますね。どうやら、事件の真相が少しずつ出てきたようですが、ビール瓶であろうがリモコンであろうが、格闘家として平手も凶器になる状態で殴ること自体が殺人未遂になりますよね。勿論、当事者でしか分からないこともありますけどね。そして、その横綱が引退という報道が出ました。やりきった状態での引退ではなく、心半ばの引退となりそうですね。そして、競馬界でもダービー馬ワンアンドオンリーが引退を発表しました。こちらは、本当に出し切った引退だと思います。勿論、能力を全て発揮していればもっと勝てたと思いますが、精神面の問題はどうすることもできませんからね。本当にお疲れ様でした。
そんなワンアンドオンリーの引退レースとなったジャパンカップを振り返りましょう。このレースを含め、あと2戦で引退するキタサンブラックが堂々の1番人気に選ばれ、2番人気にレイデオロ、サトノクラウンと続き、スタートで少し出遅れたレイデオロが後手に回らされました。その間に、前回は出遅れしてしまったキタサンブラックと豊ちゃんがハナを奪う形となりました。道中も他馬に絡まれることなく、淡々とレースが進む中、シュヴァルグランとボウマン騎手がひたすらマークしていましたね。
迎えた4コーナーでは外からサトノクラウンが上がっていき、この手応えは面白いと思う中、内からはレイデオロも進路を外に、そしてシュヴァルグランはこのタイミングしかないというタイミングで外へ持ち出しました。逃げるキタサンブラックがここから突き放すのか、それとも後続に捕まるのか!?とドキドキした瞬間、サトノクラウンは全くの手応えのなさで早々に離脱。レイデオロが凄まじい瞬発力で追い詰め、内からギリギリまで溜めたシュヴァルグランがキタサンブラックを捕らえ見事G1初勝利となりました。
騎乗したボウマン騎手は、これでロンジンジョッキーランキング1位を確定させ、シュヴァルグランの母ハルーワスイートは3頭目のG1馬を産んだことになりました。オーナーにとっても大きい勝利となりましたね。事前まで色々な契約などに巻き込まれ、鞍上が決まらずも、結果として素晴らしい騎手を確保できたことが、この勝利の要因だったと思います。何より、余裕を持ったローテーションで素晴らしい状態でしたからね。陣営が昨年の失敗を糧にし、活かしたことも勝因だったと思います。次走は有馬記念ということも発表されましたし、結果次第では佐々木オーナー2頭でドバイということもあり得ますね。楽しみが膨らむ勝利に、ファンの一人としてはワクワクが止まりません。
先週のレースにて2017年度の東京・京都開催が終了しました。12月に入る今週は、中京・中山・阪神に舞台を移します。その中でダートG1のチャンピオンズカップが中京競馬場で行われます。今回は色々な道から、結果を出してきた馬たちが集まり、頂点を狙います。まず注目はひとつひとつ階段を上がってきた古川騎手とテイエムジンソク。前走は圧巻の走りで魅了しましたし、いぶし銀古川君も燃えていると思います。あとはG1レースというプレッシャーとレースのタイト差や厳しさに構えていけるかがポイントだと思います。
地方で結果を出し続けているサウンドトゥルーも人気になるでしょうね。こちらは確実に使う末脚を武器にどこまでいけるか非常に楽しみです。その他にも韓国でも結果を出したロンドンタウンや目野厩舎に待望のG1を捧げたいケイティブレイブ、11冠達成を狙うコパノリッキーに力は本物アポロケンタッキーと豪勢なメンバー構成となっています。果たしてどの馬が勝つのか、全く想像ができません!が、テイエムジンソクを応援したいと思います!頑張れいぶし銀古川君!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。