元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ミルコってる!
2018/1/17(水)
皆様、こんにちは!2018年も早いことに2週間が立ちました。昔は一日は長いけど一年は短いなと思っていましたが、最近は一日も一年も短いように感じ始めています(笑)。なぜって、それは寝る時間が昔より長くなったからかと、改めて歳を取ったということを感じました。
さて、成人式も終わり、新成人達が多くの野望を抱く中、競馬界ではベテランの巧みな技が冴え渡った週となりました。まずは、何と言っても土曜日に中京で行われた愛知杯。四位君のエテルナミノルの騎乗は流石と言う声が思わず漏れてしまう程の名人芸でした。課題になっていたスタートを決めると、1コーナーでは内を牽制しつつ、外から被されない位置を取りました。前に馬を置いたことで非常にリラックスさせ、迎えた4コーナーでは絶妙のタイミングで抜け出すと、あとは後ろから迫るレイホーロマンスを振り切り見事すぎる勝利だったと思います。
敗れてしまったマキシマムドパリですが、やはりここでは力が一枚抜けていたと思いますね。1コーナーで内からメイズオブオナーのチャカチャカに巻き込まれる形でタニノアーバンシーが押し出され、外からもキンショーユキヒメが入ってきたことでスペースが無くなってしまいました。しかし、直線では確実な脚を使い3着に入ったことは、馬の力が違かったかなと印象を受けました。
日曜日には京都競馬場でミルコが大暴れとなりました。騎乗8回中6勝を上げ、しかもメインを除けば全て1番人気以外の馬で、メインに関しても重賞初挑戦で1番人気というのも騎手人気だと思いますね。しかも、それを京都でやってしまうというのは非常に卓越した技術がないと無理ですからね。まさにミルコってましたね。東京ではコース的に強い馬が揃えばあり得ると思うのですが、京都はコースとしても癖があり、展開ひとつで本命も難しい競馬場ですからね。そんなミルコの6勝目となった日経新春杯を振り返りましょう。
レースはスタートからロードヴァンドールがゆったりと逃げる展開をガンコとパフォーマプロミスがゆっくりと追走する流れになりました。その後ろにミッキーロケットが続く展開のまま迎えた4コーナーでは、和田君とミッキーロケットが内から来るパフォーマプロミスを出させまいとコースを早めに取り行く中、前にいたガンコと酒井君が内に行くのを瞬時に判断し、少し待ってから追い出したパフォーマプロミスが前を行くロードヴァンドールを見事に捕らえ、初重賞挑戦で初制覇となりました。名門藤原厩舎にとっては去年、久しぶりに取れなかった重賞勝利を早々と決めたことは非常に嬉しかったと思いますね。馬のことを考えてゆっくりと完璧に仕上げていく藤原式からは、今後も目が離せません。
今週も楽しみなレースが続きます。日曜日の中山ではアメリカJCCが、中京では東海Sが行われます。まず目が離せないのは東海Sに出走予定のテイエムジンソクですね。前回も完璧なレース運びをしたにも関わらず負けてしまいましたが、力は本物。もう一度、仕切り直すという面では、非常に楽しみな一戦です。アメリカJCCではミッキースワローに注目が集まります。今年の立ち上げ緒戦と言うことと今年はこの馬も主役になれるかの一戦だと思います。その他には新コンビ豊ちゃんとゴールドアクターにも注目しています。去年から豊ちゃんとブラック、今年の初めも豊ちゃんとブラックだけに、豊ちゃんと色のコンビは注目が必要かもしれません!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。