元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
圧倒
2018/3/7(水)
皆様、こんにちは!春一番が吹き荒れ、台風なのではと勘違いしてしまうような強い風が吹き荒れる週となりました。そんな中、新人騎手や新規調教師がJRAでは普通の社会よりもひと月早いデビューを迎えました。そんな中でも、ロケットスタートを決めたのが武幸四郎厩舎と安田翔伍厩舎でしたね。幸四郎厩舎では、初めてのレースに兄豊ちゃんとお世話になっているキーファーズとのコンビでデビューを果たし、見事な勝利で初陣を飾ると、その後のレースではルメール騎乗のフォレストタウンが圧勝と2戦2勝のスタートでした。
翔伍厩舎は初戦こそ7着に敗れはしたものの、日曜日には前走で圧巻の走りを見せたオメガパフュームで見事な勝利をあげました。こちらは今後の重賞戦線でも注目しなくてはいけないほどの走りに、初勝利こそ譲りましたが、重賞は安田翔厩舎が先手を取るような気がしました。若い新人たちが、それぞれの思いを持ち、デビューを果たしました。本当の結果を見つめるときは、引退の時でしょうが、それにしても圧巻のデビュー戦に思わず、あっぱれ!となりました。
そんな圧巻の新人デビューを見守る中、クラシック戦線での本命馬たちが2018年の初陣に臨みました。まず土曜日には無敗馬ラッキーライラックが今年からG2へと格上げになったチューリップ賞を制しました。しかもトライアル仕様である今回ですが、同じコースで1秒程タイムを縮めてきたあたりからも成長を感じる勝利だったと思います。そして、何よりも騎乗している石橋脩君との息の合い方に注目していました。
新馬でどれだけ強い勝ち方をしても、その後のレースでは疑いを持ちながら騎手は乗ります。こうなったらどうか?まだ分からないからこうした方がいいかなど。それを繰り返し、コンビとして大きなレースに挑むのですが、前回の勝利から今回に関しては、2歳から3歳に変わることで、どれだけ良くなっているかが一番の課題だったと思います。しかし、それは心配無用の他を圧倒し勝ちっぷりに、石橋君も完全に手の内に入れた!と確信を持ったレースになったと思います。
日曜日に行われた弥生賞でも同じです。川田君とコンビを組む無敗馬ダノンプレミアムに関しても、まったく同じことが言えると思います。牡馬牝馬ともに最強の無敗馬がこのままクラシックを総なめにするのか、はたまた、違う怪物が誕生し、更に盛り上げてくれるのか、非常に本番が楽しみです。ワグネリアンは少し気になりましたね。馬は非常に頭の良い動物で、レースを覚えるたびに行くことを覚えたり、ハミを噛みやすくなったりします。今回のレースでは今までに見せなかったハミを取りに行く姿が見えたことからも、違うポジションでの競馬を試してほしかったと思います。もちろん、福永君も考えていることでしょうが、中山2000mはまさにダノンプレミアムのようなレース巧者に向いたコースですからね。逆転を考えるためには、次の一手が欲しくなるレースだったと思いました。
今週からは小倉競馬から中京競馬に変更されての3場開催となります。土曜日には中山牝馬S、日曜日には阪神でフィリーズレビュー、中京では金鯱賞が行われます。この中で、私の注目は金鯱賞になりますね。なんと言ってもサトノダイヤモンドの復帰戦ですからね。しかし、調教を見ていても何か心配になる動きだけに、グランプリホースとしてどうなるのか非常に判断の難しいレースになると思います。
そこに対抗してくるのは左回りに舞台を変え本領発揮のスワーヴリチャード。こちらはステップレースとして無理をせずに勝ち切るのが理想ではないでしょうか。その他にも同じ舞台で圧勝しているメートルダールや連覇中のヤマカツエース、これで引退のデニムアンドルビーなど、そうそうたるメンバーにより行われます。あとは当日のコンディションにより動きがあると思いますので、是非とも馬場を確認し、皆様も馬券でアッと驚く圧倒をしましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。