元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
レースセンス
2018/4/18(水)
皆様、こんにちは!新たな門出を多くの人が迎える季節になりました。うちの孫長も無事に高校生になることができ、あんなに小さかったのにもう高校生かという印象を持ちました。いつまでも子供扱いしていた孫が大人になるのは少し寂しい気もしますが、それでも大きくなり、自立した大人になるのは少し楽しみでもあります。色々と問題が起きている日本を立て直してくれるのは、この世代ではないか?そう期待しながら、皆様の門出を見ています。
さて、新たな門出というのはデビューだけではありません。競馬界ではクラシックの初戦もある意味、門出と感じております。そんな皐月賞では、ダントツの1番人気候補ダノンプレミアムがまさかのザ石による回避となり、戦前から予想も混戦となりました。そのような中、1番人気に選ばれたのはワグネリアンでした。新馬戦では怪物候補だったヘンリーバローズを倒し、2戦目でも圧巻の走り。そして、弥生賞では苦手なレース展開になりながらも、王者ダノンプレミアムに迫る2着でしたから。続いて人気を集めたのが、前哨戦で辛くも勝利したステルヴィオでした。こちらも負けたのはダノンプレミアムだけと言うこともあり、人気を集めましたね。さらにキャリア2戦で皐月賞に挑んできたキタノコマンドールが続きましたが、勝利したのは戸崎君とエポカドーロでした!
前哨戦でも素晴らしい走りをしていたことからも、展開はこの馬に向くのではないかと言っていましたが、まさに想像通りのドンピシャな展開となりました。また、それを実現できたのはエポカドーロのレースセンスと陣営の万全の仕上げにあったのではないでしょうか。スタートしてからアイトーン・ジェネラーレウーノ・ジュンヴァルロの3頭が大きく後続を引き離すレースとなりました。その後ろで、単騎逃げのような形をエポカドーロが取れました。前3頭が速いペースで流れる中、後続集団は超がつくスローペースとなりました。ここが戸崎君の匠な技でもありましたね。無理に追いかけず、ましてスローに落とすとは容易ではありません。しかし、それをも実現したのは戸崎君の技術と、エポカドーロのレースセンスだったと思います。
迎えた4コーナー。届くのか!?と不安になっていた人も多い中、脚が完全に止まった馬たちを見て、これは戸崎君で決まりだと確信に変わりました。直線では案の定、エポカドーロが引き離すと、そのまま1着でゴールインしました。2着にはサンリヴァルが入り、こちらもまたレースセンスに長けた馬が入選しました。3着には超ハイペースでも2番手にいたジェネラーレウーノが入り、こちらはこのペースでこの着順なら次は!と期待させられるようなレースでした。その後ろにはステルヴィオ・キタノコマンドールが続き、この5頭までにダービーの出走権が付与されました。
今回は特殊なレースになったこともあり、展開待ちの馬にとっては苦しいレースとなりました。やはり中山2000mを制するのは、力よりも運よりもレースセンスだと個人的に思います。もちろん、ドゥラメンテのように全てをこじ開ける怪物もいますが、それは通常では考えられませんからね。次のダービーでは出ていなかったダノンプレミアムやトライアル組も加わることで、更なる混戦が予想されます。一体どの馬が本番に向けて成長してくるのか、非常に楽しみになったレースでした。
今週は連続G1がお休みになりますが、オークストライアルのフローラSやマイラーズC、その他にも土曜日は福島牝馬Sが行われます。特に注目をしたいのが京都競馬場で行われるマイラーズCですね。なんと言ってもコンビ復活したエアスピネルと豊ちゃんのコンビには頑張ってもらいたいですね。同じコースのG1で惜しくも敗れた当馬だけに、ここは負けられない一戦だと思います。新勢力としてはモズアスコットに期待が集まると思います。こちらも走りは非凡なだけに、あとは当日のテンションと折り合いが非常に重要になってくると思います。
その他にもマイルCS・3着のサングレーザーがおり、マイル挑戦で新たな一面を見せたいカデナもいます。さらに得意距離に戻ってきたダッシングブレイズと、安田記念に向けて全頭が結果を残したい一戦になると思います。G1はお休みでも、G1のためには見逃せないレースが続きます!是非、その目で確認し、春のG1シリーズは前哨戦を見て全勝戦といきましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。