元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
恐れない挑戦心
2018/5/2(水)
皆様、こんにちは!世間ではTOKYOオリンピックではなくTOKIOショックでニュースがあふれていますね。TOKIOの山口さんが飲酒をしたうえで、未成年を家に呼びわいせつな行為をしたということで無期限のお休みに入られました。私もダッシュ村が好きで、いつも懸命に農業や何やらをする山口さんを応援していただけにショックが非常に大きかったです。その上、謝罪会見では「もし戻れるなら、また戻って……」という甘いコメントにはビックリしましたね。いくら思っていたとしても、それをあの場で言うのは違うと思いますし、何よりも反省した先にその思いがあればよかったんですけどね。本人は反省したつもりでも、自分だけが満足した反省なら意味はないですからね。再度、やり直してきてもらいたいと思います。
それでは競馬の話をしましょう。競馬界でもスランプに入り、本人も「もうG1の舞台で勝てないと思っていた」と言っていた岩田君がレインボーラインとやりました!日曜日に京都競馬場で行われた天皇賞(春)で馬にとっては初G1、そして岩田君にとっては3年ぶりのG1勝利となりました。スランプに入っていた岩田君の騎乗は本当に迷っているなと思っていた時期もありました。しかし、多くを語らずコツコツ、コツコツと競馬に向き合ってきたのが、最近の騎乗からも伝わっていました。馬質は以前よりもガクっと落ちたのも事実です。でも、その中でも諦めず怖さがあってもインを攻める。その心が今回の勝利だったと思います。
特に今回の騎乗でうなったのは、1周目のスタンド前です。スタンド前に入る時に大体の配置が決まりました。その中で内から2頭目にいた岩田君ですが、内が開いているのを見るとすかさずラチ沿いへと馬を運びました。ヤマカツライデンが逃げていることにより、展開的にもあそこをラチ沿いに入れた場合、リスクが多くなります。しかし、そのリスクを岩田君は恐れなかった。それこそが、今回の勝利の要因だったと思います。逆に動かされてしまったのはボウマン騎乗のシュヴァルグランでしたね。終わった後に気になってボウマン騎手の成績を見て、やっぱりか!となったことがあります。
それは、ボウマン騎手が京都競馬場での勝利数がまだひとつしかなく、この特殊なコースに馴染んでいなかったからです。しかも、土曜には東京で騎乗していたことからも、不慣れな上に下見もできていなかった。これが全てではありませんが、このことからも4コーナー手前にサトノクロニクルに突かれ、動くしかなくなった時の下り坂の使い方が違和感しかありませんでしたから。それでも、岩田君ほどの騎乗がなければ勝っていたのはシュヴァルグランだったと思います。全てがかみ合わないと勝てないのがG1です。だからこそ、今回の感動の勝利があったと思います。
熱い復活Vのあとには、一体どんな勝利があるのか。連続G1はまだまだ続きます。今週は東京競馬場でNHKマイルCが行われます。何と言っても、1番人気はタワーオブロンドンが選ばれるでしょうね。もう見飽きたというくらい勝っている藤沢和厩舎とルメールのコンビが、またもややってのけるのか!非常に楽しみです。そこに待ったをかけたいのは、前走で新たな持ち味を見せつけ勝ち切ったカツジではないでしょうか。
その他にも藤原英厩舎の2本の矢ミスターメロディとギベオンもいます。ミスターメロディにとっては少し長い気がしますし、ギベオンにとっては少し忙しくなりそうですがそこは藤原英厩舎。完全に今回のレース仕様に変えてくることを期待しています。タワーオブロンドンを中心に、多くのライバル達がしのぎを削ってきた3歳マイル戦。どの馬がTOKIOではなくTOKYOで優勝メンバーになるのか!非常に楽しみです!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。