元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
諦めない限り夢は続く
2018/5/30(水)
皆様、こんにちは!ハリル監督が解任になり西野ジャパンの初試合が30日に行われます。ワールドカップを決めるも、どこか絶望を感じていたチームを復活させるために、どういった手腕を振るうか非常に楽しみな一戦になります。今回の噂では久しぶりにウイングバックを使う3バックシステムを使うと予想されています。前回大会で世界のレベルを見せつけられた日本ですが、いつまでも世界で一番になるという目標は変わりません。そのためのトライであれば、喜んで一ファンとして応援したいと思います。本来ならば結果を求められる試合でしょうが、個人的には本番までの過程に注目しています。諦めない限り、夢は続きます。いつか日本チームが優勝カップを掲げる、その日まで私は応援したいと思います。
競馬界でも夢を諦めなかった騎手が夢をかなえました。ダービージョッキー。これは騎手ならば誰もが目指す称号で、勝った喜びは体の芯から震えあがるものだと聞いています。私も現役時代に、夢として持っていました。その夢は叶いませんでしたが、そこへトライできたことを幸せと思っています。19回目の挑戦でとうとう福永祐一騎手がダービーの称号を手にしました。
父・洋一さんが勝てず、福永家の悲願でもあったレースを息子が叶える。この様なドラマは作られたものだけでは味わえない感動がありました。祐一君も、洋一さんの息子ということを何度も言われ、それでも諦めずに努力を重ね、例え乗るのが上手くないと言われても、それでも諦めなかった。福永洋一記念のために高知に行っては、自分の原点を失わなかった。その成果だったと思います。そして、今回の勝利。祐一君の腹をくくった騎乗もありましたが、もっとも凄かったと感じたのは厩舎力です。
陣営としては皐月賞もこのレースがしたかったのだと思います。少しかかるようになってきたワグネリアンを必死に修正し、皐月賞でも自信があったと思います。しかし、その競馬はできなかった。それでも福永君と共に修正を重ね、17番枠という不利をも有利に変えることができたと思います。祐一君の夢、厩舎の我慢と努力。これら、全てが重なることで勝つことができたダービーだったと思います。メディアでは祐一君ばかりが挙がってしまいます。しかし、私は陣営の力を強調したいです。
2着にはエポカドーロが入り、残念ながら二冠を逃してしまいましたが、皐月賞ほどの展開の利がない中でも見せた走りは、まさに圧巻。こちらも厩舎力がものを言った気がします。そして、戸崎君もまた、かかりやすい馬をなだめてなだめて乗る技術を見せてのレースでした。ダービーが終われば、来年のダービー馬を探す新馬戦が始まります。ホースマンたちが目指した一年の答え合わせが終われば、また課題の一年。素晴らしいダービーだったなと思います。
ダービーが終わっても、G1は続きます。例年以上の豪華メンバーが揃い、非常に難しいレースが予想される安田記念が行われます。まずは大阪杯で王者へと昇りつめたスワーヴリチャードがマイル戦に新たな挑戦をします。マイルは走ったことがないだけに未知のところはありますが、世界へ出ていく日本代表の馬としてここでも期待してしまいます。マイルから2000mをこなしてきたペルシアンナイトも、俺がマイル王だと出てきます。こちらも若い時よりも色々なレースができるようになってきたため、ここでの激走も期待してしまいます。
その他でも、今まではワンパンチ足らないように感じていたサングレーザーにとってもベスト条件のレースになりますし、ドバイからのローテで参戦となるリアルスティールに同じ厩舎のリスグラシュー。前回は落鉄も粘ったアエロリットと非常に豪華メンバーになります。挑戦者たちが新たな道を開くのかマイル王か、それとも新たな刺客が勝つのか。この戦いもダービー以上の熱戦に期待しています!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。