元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
驚愕タイム
2018/8/1(水)
皆様、こんにちは!先週は台風12号に踊らされる週になりましたね。過去、例に見ない進路取りで進み、栗東にも強い雨風が吹き荒れました。急な進路変更に合わせて、我が家でも雨がつまらないように掃除を開始したりとてんてこまいな週でした。そんな週末には、スペインからヴィッセル神戸に移籍したイニエスタ選手が先発出場を果たしましたね。何がすごいと言われれば全てとしかいいようのないプレーに神業トラップと、欠点のないプレーに開いた口が塞がらなかったです。チームも勝利し、これからの活躍に一層力が入る結果となりました。
そんな台風に踊らされる中、札幌では牝馬の戦いクイーンSが行われました。レースは圧巻の走りでディアドラと年間100勝を決めたルメールのコンビが制しました。ペースもそんなに早くなく流れた中、中団よりやや後方のポジションを取ったディアドラでしたが、迎えた4コーナーでは抜群の手応えで前を捕えると、鞍上のルメールも余裕!といった素振りを見せながらの勝利となりました。あの勝ち方は今年の牝馬戦線にとっても頂点に立てる才能を見せつけてくれたと思います。ヴィブロスにモズカッチャンと強い牝馬の中でもトップクラスだと思います。3着に敗れたのはソウルスターリングでしたね。こちらも、圧巻のパフォーマンスでクラシックの勝利を重ねていましたが、気性の悪い部分が強くなり、本来の走りができなくなってきましたね。しかし、能力としては抜群のものを持っているだけに、再度マイルや1400mで見てみたいと思いました。
新潟では名物アイビスサマーダッシュが行われ、森田厩舎の2頭が見事なワンツーフィニッシュを決めました。集まったスピード自慢の中、先手を取ったのが51キロの斤量に挑戦したミルコとラブカンプーでした。ペースを見ていてもこれは抜群といったレースでしたが、残り300mではラブカンプーの後ろで持ったままスペースを探す秋山君とダイメイプリンセスが見えました。この瞬間に秋山君の勝ちだと確信しましたね。勝ち時計はなんと53.8の好タイム。19年ほど破られていないカルストンライトオの53.7に迫るタイムだっただけに、これは本物というところを見せつけてくれましたね。
2着にはラブカンプーが入りましたが、こちらも54.0という時計で、3歳牝馬としては異例のタイムだったと思います。2連覇したベルカントが54.1だったのですから、今回の2頭の凄さが分かるのではないでしょうか。これだけの強さを持ったダイメイプリンセスは次走に北九州記念を予定しているようですが、個人的には海外の直線競馬に挑戦するのもひとつの手ではないでしょうか。凱旋門賞の日にはたしか直線競馬も用意されているはずですし、クリンチャーの挑戦の前にダイメイプリンセスも挑戦!なんてのを見てみたいなと思いました。
さて今週、そんな熱い新潟ではレパードS、小倉では小倉記念が設定されています。レパードSには前回少し長めの距離に苦しんだドンフォルティスが出走となります。今回は距離も短縮されるだけにとどまらず、休み明けを叩いた効果も期待できます。それに待ったをかけたいのが過ごしやすい北海道からルメールが暑い新潟にわざわざ来るグレートタイムになるでしょうね。前走も万全の競馬を見せつけましたし、何よりリーディングトレーナーの腕の見せ所ではないでしょうか。上り馬アドマイヤビクターにも注目したいです。ダートに変更してからの圧巻パフォーマンスはここでも期待したいですね。力は本物チュウワウィザードを加え、この4頭からは目が離せないです。
小倉記念には重賞2勝目を狙うトリオンフが新コンビ豊ちゃんと出走してきます。フランスでも結果を出した天才がどのように乗るのか非常に楽しみです。重賞ウィナーのサトノクロニクルにストロングタイタンと池江厩舎勢がどのように走るのかにも注目したいと思います。小倉は展開次第で着順が変わるような難しいレースになるでしょうね。熱い夏は是非、競馬遠征して地元の食を楽しんでくださいね!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。