元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
今夏のキーワード
2018/8/16(木)
皆様、こんにちは!セミが鳴きならすオーケストラが、なかなか止まない夏がつづきますね。そんな暑い中、私はというと高校野球をクーラーの聞いた部屋で見守る日々が続いています。滋賀県代表の近江も奮闘していますし、息子の出身校でもある平安高校も勝っているので、非常にワクワクする戦いとなっています。どの高校生にも悔いのない試合をしてほしいと思います。流した汗が無駄になることはないと思います。たとえ、負けて夢が敗れても、その汗はきっと違うところで役に立ちますから。
それでは先週の競馬を振り返りましょう。まずは、新潟記念で行われた関屋記念では51キロの斤量を活かしたプリモシーンが見事な勝利をあげましたね。今年のクラシックでは思ったようなレースができない中、休養を挟み10キロも体を増やしての緒戦とすれば完璧だったのではないでしょうか。迎えた直線ではハミに頼るような形で少しもたれてしまいましたが、そこから盛り返すのですから力は本物。この勝利で来年のヴィクトリアマイルでも注目を集める一頭になったと思います。今後は秋華賞に向かうのか、それともマイル路線を進むのか注目しておかなくてはなりません。
2着にも牝馬ワントゥワンが入りました。こちらは前回52キロも、前が壁になる不運があったことから、鞍上のミルコも直線では垂れてくる馬をよけるために外を選択しましたね。しかし、この馬が使える脚は限られているだけに、逃げたエイシンティンクルが向正面で落としたペースが向かなかったということだと思います。それでも2着に入ったのは上出来だったと思います。3着には逃げたエイシンティンクルが入りました。こちらは初重賞挑戦でしたが、やはり力がありますね。この馬が先日まで条件戦を走っていたと考えると負けた相手がついてなかったと思うでしょうね。初めての重賞でここまで走るのですから、直線が短いコースでは更に注目していかなくてはいけない一頭になったと思います。まだまだサマーシリーズは続きますから、こちらの動向も注目してみてください。
札幌で行われたエルムSでは、典ちゃんの長男・横山和生君とハイランドピークが人馬共に重賞初制覇をしましたね。レースは予想通りにドリームキラリがハナを奪う中、3番手で前を見ていたハイランドピークと和生君が4コーナーでは抜群の手応えのまま上がってくると、鞍上が何度も何度もスクリーンで他の馬を気にしながら必死に追い、見事な勝利をあげました。例え、カッコ悪い乗り方になっても、その気持ちは見ている全ての人が心打たれた初重賞勝利だったと思います。2着にはドリームキラリが入りました。こちらは、少しペースが速かったかなと感じましたね。しかし、それ以上に勝ち馬が強かったことからも仕方のないところではあります。そして、やはり適距離としては1600~1800mと感じましたね。今後も距離とペース次第では、ダート重賞の常連となってくると思います。
それでは今週の競馬にいきましょう!まず札幌記念は大変豪華なメンバーが揃いましたね。出馬表を見てもG1ではないのか?と思うようなメンバーに今から楽しみが止まりません。1番人気には復活が期待されるマカヒキが選ばれるでしょうね。ダービーから遠ざかった勝利ですが、今回こそはと陣営も諦めていないと思います。それに待ったをかけたいのが、秋の上昇気流に乗りたいサングレーザーやミッキースワローではないでしょうか。その他にも休み明けのイメージは良くないですがモズカッチャンや去年の王者サクラアンプルールもいますし、馬場が合いそうなクロコスミアもいます。まさに群雄割拠のレースは困惑を極めます。
小倉では北九州記念が行われます。夏の重賞のキーワードは51キロ、重賞初制覇の2つになっていることからもラブカンプーと和田君に注目したいと思っています。和田君の体の大きさからも51キロに乗るは本当に大変だと思いますが、それでも挑戦してきたあたり、ミルコや北村宏君のような意気込みを感じます。見逃してはいけない一頭はナガラフラワーだと思っています。その他にも重賞初勝利を気にするならCBC賞を勝った暑さに強いアレスバローズは菱田君とのコンビが発表されていますし、アンヴァルの50キロには荻野極君がいます。今夏のキーワードがまた発生するのか、その答えは皆様の目で確認してください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。