元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
夏の置き土産、秋の手土産
2018/9/5(水)
皆様、こんにちは!とうとう9月に入ったにも関わらず、またもや台風。しかも、風も雨も強く、最強クラスということで、夏の置き土産かなと感じた台風になりました。そんな中、夏競馬の施行が終了しましたね。新潟では石橋脩君が新潟リーディングを獲得。最終日には3週間もいなかったミルコが怒涛の追い上げを見せましたが、2着の回数でハナ差の逃げ切りとなりました。
そして、小倉では北村友一君が小倉リーディングを獲得。最近いい馬に乗っていることもありますが、自分の形を見つけた彼が勝っていくのは当然なのかもしれないと思うほど、雰囲気がありました。札幌では短期免許で来ていたモレイラ騎手が、初の通年騎手以外でのリーディングを獲得。その勝利数は31勝と驚く数字でした。しかも、シャーガーCに参戦するために1週いませんでしたし9月もいなかったですからね。そう考えると脅威としかいいようのない結果となりました。モレイラからの強烈な夏の置き土産に競馬界も、今回の台風同様ビックリしたのではないでしょうか。
それでは先週の競馬を振り返りましょう。なんといっても新潟記念ですね。例年のローテーションでは考えられない3歳牡馬ブラストワンピースが夏を超えて出陣してきました。以前よりダービーに勝てなかったが一番強い馬と思っていましたが、結果はまさに。1枠1番に選ばれましたが、新潟の馬場はずっと降り続いていた雨で大荒れ。その中、スタート後に池添君は自信たっぷりに外へと進路を取りました。その時点で「あぁ返し馬でも相当の手応えがあったのだな」と思いました。レースはマイネルミラノが少し早いペースでレースを引っ張り、4コーナーでは強気に出していったブラストワンピースと池添君がノーステッキで他馬をぶっちぎり、格の違いを見せつけたレースとなりました。
2着には体を増やしてきたメートルダール、3着には気性が落ち着き脚をためることができるようになったショウナンバッハが入り、馬券もダントツ人気がいながらの大荒れと、お客様にとっては嬉しい結果になったと思います。しかし、強かった。次はクラシック最後の一冠菊花賞に向かうようですが、圧倒的な1番人気になると思います。あの素晴らしすぎる馬体を見ると距離の不安がないとは言い切れません。しかし、能力だけで得意ではない距離もこなしてくれるような器に見えます。関東遠征で池添君が出会った名馬は本物だったと見せてくれると思います。
さぁ、とうとうG1シーズンが戻ってきますよ。9月に入り開催は阪神、そして中山競馬場になります。果たしてどんなドラマが待っているのか、名馬のデビューも待ち切れません。そんな中、日曜日にはサマーマイルシリーズ、サマースプリントシリーズ最後の戦い京成杯AHとセントウルSがそれぞれ行われます。京成杯AHでは期待されていたグレーターロンドンが再度、爪の不安が出たために回避しましたが、逆に面白いレースになる気がしています。1番人気にはロジクライが選ばれるでしょうね。ハンデも手ごろに収まったこともありますし、展開としてもやりやすい馬な気がします。
穴馬も沢山みておきたいですね。私の場合ならばショウナンアンセムに注目しています。前走はからっきしも今回は開幕週ということもありますし、一度叩いて前目につけられる、この馬がどのようなレースをするのか楽しみです。その他にも勝ち上がってきたばかりですがミッキーグローリーも力がありますよ。ストーミーシーのどハマりなんかにも期待しています。本命不在の中で違いを見せつけるのはどの馬か。夏ではなく、秋に向けての手土産はどうなるのか!?非常に楽しみです!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。