元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
本当のチャンピオンとは
2018/9/12(水)
皆様、こんにちは!まずは北海道地震により被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧をお祈りいたします。私自身も北海道出身ということもあり、毎日のように流れるニュースには信じられない気持ちでいっぱいでした。向こうに住んでいる知り合いに電話をするもなかなか繋がらず、大きな不安にかられました。そして、やっと電気も通じ連絡が取れ、一安心することができました。北海道で天災というのはイメージができませんでしたが、本当に今の日本では何が起こるか分かりませんね。皆様も備えあれば患いなしという言葉があるように、万が一のために色々と準備していてくださいね。
それでは競馬の話に参りましょうか。サマースプリントとサマーマイルの最後の挑戦に設定されたセントウルSと京成杯AHが阪神と中山競馬場で行われました。その中でも、私が注目したのはセントウルSでした。勝ったのはイギリス修行から帰ってきた川田君と春のスプリント王者ファインニードルでした。今回はパドックからも余裕残しのように見えましたが、レースではレベルの違いを見せつける結果となりましたね。しかも、あの雨が降りしきる馬場でノーステッキでの勝利には、まさに脱帽でしたね。これで本番に向けても視界良好という、まさに盤石の勝利だったと思います。
レースはスタート一番、夏競馬で着々と力をつけてきたラブカンプーが先手を奪いました。そこでポジションが決まったと思う中、外から福永君とネロが更に主張する形となりました。ネロからすれば、この馬場が得意な上、ハナにいかないと!という頭があったと思います。しかし、あのポジションが決まってもなお押していきポジションを取るのには結果からも何か意味があったのかなと?がついてしまいました。特に福永君のようなクレバーな騎手だからこそ、余計になぜだろうと思ってしまいましたね。そして、逃げる馬に競りかけた結果、雨で重くなった馬場で前半33秒というハイラップになってしまいました。しかし、逆にラブカンプーはそのペースの中でも結果として王者に屈しましたが、非常に力を見せたレースだったと思います。それをノーステッキで勝ち切ったファインニードルは、やはり王者ということだと思います。
その結果サマーシリーズが終了し、サマー2000にはメドウラーク、サマーチャンピオン騎手では福永祐一君が優勝しました。しかし、一般的に見ていて少し疑問に思ったのが、シリーズで優勝していない場合、得点に関係せずに優勝できないということでした。もともと、サマーシリーズというのは、夏の風物詩として設定され、暑い夏に出馬を確保するための目的があったと思います。その中、今回では騎手ではミルコが7ポイントも勝っているにも関わらず優勝できず、ワントゥワンに関してもサマーマイルチャンピオンとして該当なしとなってしまいました。
こうなるので、あれば競馬ファンの一人としては、勝ったものだけが得点を表示し、勝った時に得点をJRAホームページに表示してくれたらいいのにと思いました。サマー予想クイズにも「得点が一番多い騎手が優勝」と明記しているだけで、私の確認不足かもしれませんが、最低1勝とは書いてありませんでしたからね。夏に一番結果を出した騎手や馬として捉えた場合は最低1勝というルールは必要なのかなと思いましたね。それで該当なしでは、出馬し夏の王者を目指す陣営も減ってくるのではないかと今回の結果を見て感じてしまいました。
さて、今週は3日間競馬になります。敬老の日にも競馬がありますので、楽しみが1日多い週となりますよ。その中でも注目はG1馬候補が多く出てくるセントライト記念になります。まずは何といっても2日連続の重賞制覇で乗りに乗っているルメールと無敗のレイエンダになると思います。これまでの3勝は全て異次元の走りで勝ち切ってきたことからも、ここでも力の違いを見せつけてくれるのではないかと思っています。
しかし、3歳の一級戦線に躍り出たいのは他馬も一緒。特に私の注目はジェネラーレウーノになります。超ハイペースで負けたとはいえ中山での実績もありますし、力は本物ですからね。その他にもオウケンムーンもリベンジに燃えているでしょうし、ダービー3着のズミックフォースも力は本物だぞと見せたい一戦だと思います。その他にグレイルもいますし、才能が開花していれば怖いブレイステイキングやエストスペリオルもいます。マイルから挑戦のギベオンも休み明けで、フレッシュな状態であれば非常に楽しみな1頭です。ここまで絞れないレースは珍しいですが、兄のように王者を目指すレイエンダ対その他を非常に楽しみにしています。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。