元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
トリプルクラウン
2018/10/19(金)
皆様、こんにちは!先日は新生サッカー日本代表の試合をご覧になられましたか?森保監督を筆頭にメンバーも変わってウルグアイとの試合に挑み、見事打ち勝つことができました。今までの日本代表はどうやったら負けないのか?という戦い方をしてきたように見えました。しかし、今回はどうやったら勝てるのか?といった戦い方をしていたように思えました。勿論、負ける気で試合はしていませんが、その意識の改革とメンバー達が力を発揮できる環境づくりには脱帽でした。まだまだトレーニングマッチで試していることばかりでしょうが、それでも新生日本代表を応援したく思いました。新エース南野に新10番中島と、体格としては世界に比べると小さい日本代表ですが、それでも世界と戦うための方法を模索している気がします。
それでは先週の競馬の話をしましょう。何と言ってもアーモンドアイが秋華賞で牝馬三冠を達成しました。桜花賞の勝利から三冠を確信していたのは私だけではなかったと思います。今回のレースはデキとしては7~8割の中、直線では異次元の脚で駆け抜け、見事な勝利を収めました。騎乗していたルメールにとってはどんな状態、どんな競馬でも勝てるという手応えがあったと思います。アーモンドアイにとってはこの三冠が懸かったこのレースですら通過点でしかなかったのだと思います。彼女は世界を狙える素質、走りをしていますから。雨の不良馬場もこなしますし、スタミナそしてパワー全てを兼ねそろえている馬です。次のステップは日本一になること、そう思います。それを実行し、次は世界の舞台へと駒を進める馬だと思います。名牝と呼ばれたウオッカやダイワスカーレット、ジェンティルドンナをも超える才能に、今から日本競馬界は望みを乗せていくのだと思います。
2着にはミッキーチャームが入りました。今回は北海道滞在からの競馬でしたが、非常に良いレースをしたと思います。この馬は北海道で500万を走った時の衝撃はすごかったですからね。3着にはカンタービレが入りました。非常に残念ではありましたが、賛否が分かれるレースになったと思います。豊ちゃんにとっては初めてのコンタクトになり、引っ掛かることを一番に嫌ったと思います。その他にも行く馬がたくさんいたことからも、挑戦してみることを選んだように見えました。結果としていつもの競馬をしていれば2着はあったかなと思います。しかし、絶対女王アーモンドアイを倒すためには挑戦しなくてはいけなかったとも。その点で違う形をとっても挑戦したのはカンタービレとダンサールだったように思います。それほどまでに強すぎる相手だったのです。
今週は牡馬三冠レース最後の菊花賞が行われます。ダービー馬ワグネリアンは出走してきませんが、皐月賞馬エポカドーロに私のダービー馬候補だったブラストワンピース、その他にも素質が凄いグロンディオーズにフィエールマン、悪癖さえ出なければエタリオウと混戦模様が予想されます。中でも私の注目はブラストワンピースです。折り合いにも目途がつきましたし、心配は何もないといったところではないでしょうか。あとは人気馬達の動向やレース展開、枠が非常に重要になってくると思います。京都の3000mは本当に難しいですからね。
3コーナーの下りから長い脚を見せつけてほしいと思っているのはエタリオウです。溜めれば溜めるだけ切れる馬ですが、それでは今回のレースでは届ききらない気がします。だからこそ、ギャンブルでも長いロングスパートに期待したいです。次々と出てくる新スタ候補に楽しみが止まりません。今週はオーストラリアでも2頭の日本馬が川田君と坂井琉星君と共に戦います。こちらも日本代表として素晴らしいレースを期待しています。おごることなく、前に進む姿を!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。