元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
上には上が
2019/2/13(水)
皆様、こんにちは!寒さが一層増す今日この頃。2月15日には、とうとう69歳の誕生日を迎えてしまいました。引退してから長い年月が経ち、それでも毎日のように馬を眺め、土日は競馬を研究するというのに幸せを感じています。毎年毎年ですが、歳をとるのも悪くないとも思っています。今年も、子供たちからは素敵なプレゼントを沢山もらいました。テンピュールの移動用枕やモンベルなど、私の行動や寒がりを知ってのプレゼントが多く、本当に嬉しかったです。また、その上に焼肉もごちそうになり、本当に歳をとるのも悪くないなーと思った誕生日ウィークでした。
そんな温かい話は置いておいて、雪により、すごく寒くなり順延までしてしまった先週の競馬の話をしましょう。日曜日に行われた共同通信杯では、最優秀2歳牡馬アドマイヤマーズが出陣してきました。今回は陣営としても、春のことを考えたローテーションで、早めの始動を取り、なおかつ輸送や東京競馬場、そして距離と沢山のことを試すレースとなりました。結果としてレースではダノンキングリーの圧勝で終わりましたが、決して悲観する内容ではなかったと思います。負け方にも沢山ありますからね。
しかし、それでも気になったのは、一頭になった時に見せた止める癖ですね。本来ならばあそこから引き離していく、もしくは並ばれた時にもうひと伸びが真骨頂なのですが、直線半ばまで尻尾を振って遊んでいる様子もありました。ただ、本番ではここまで楽になる相手ではないでしょうし、安心はしていますけどね。ただ、最後のひと伸びがなかったのは、距離が関係しているとしか思えません。そう考えると中山2000mを誤魔化せても東京2400mは厳しいと思いますね。どちらにせよ、まだまだ悲観する内容ではないだけに、本番は楽しみになりました。
勝ったダノンキングリーは兄のダノンレジェンドなどと全くタイプが違い、キレる脚を持っていますね。クラシックでも非常に面白い存在ではないかな?と思ました。それでもサートゥルナーリアは私の中では、あと2つレベルが上にいる気がしていますけどね。
順延となった月曜日にはクイーンCが行われ、クロノジェネシスが圧巻の走りで勝利しました。2歳時のG1でも実力はこちらが上に見えましたし、まさに順当な勝ちだったと思います。またしてもユウイチとユウイチの決着でしたね。特に北村友一君はこれで、今年に入り重賞3勝目と絶好調です。クロノジェネシスとのコンビで言えば、前回のミスをしっかりとケアしてきた姿が見受けられました。この信頼した乗り方ができるのは、きっと彼の成績が向上し安定してきたことによる自信の表れということかもしれません。
2着にはビーチサンバが入りましたね。こちらはスタートで遅れながらも、最高の脚を出しただけに勿体なかったですが、これもレースですね。実力としては相手が上も、完成度の高い馬だけにまだまだ逆転の目はあると思います。
今週は2019年のG1がスタートします。日曜日に東京競馬場ではフェブラリーSが行われます。6連勝中のインティをはじめ、ダート界の怪物ゴールドドリームの復活、4歳世代オメガパフュームの進撃、実力馬達がこぞって出走してきます。その中でも注目を集めるのが、藤田菜七子騎手が初のG1に騎乗することでしょう。非常に難しい上に距離も心配になりますが、それでも彼女の負けん気の強さと熱心な気持ちで乗り越えてくれる気がしています。その他にも、今の馬場を見ているとサンライズソアも面白いのではないかなと思っています。そこは田辺君が人気を背負わないときの怖さも含みですけどね。2019年最高のスタートを切るのはどの馬か。是非とも競馬場で、その目で確認してください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。