元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
水かきと適性
2019/7/3(水)
皆様、こんにちは!九州では大雨にみまわれ、大雨特別警報の発表もあるのではないかとなっています。何よりも怖いのは、大雨による土砂崩れや道路の冠水などです。だからこそ、特別警報が発表されてからでは遅いのです。住民の皆様はいち早い避難を、早め早めに行ってほしいと思います。梅雨入りが遅れたことにより、集中的に降る雨に私達はどうしようもないですが、何よりも命を守る行動をとってほしいと思います。
それでは先週の競馬の話をしましょう。遅れてきた梅雨により重賞レースが行われた日曜日には中京、函館、福島とひどい大雨となりました。今まででは開幕週の雨ならという考えもありましたが、それも昔の話。開幕週でもこの大雨が降れば、水かきがついているかいないか。この点が重要になってくるポイントになります。もしくは、群を抜いて能力が抜けているかしか勝つポイントはありませんからね。
そんな中で、中京で行われたCBC賞ではレッドアンシェルが圧巻の走りを見せてくれました。前走は好タイムで勝ち上がり、1200m適性を見せつけていましたが、今回の馬場も何のその。見事な勝ち上がりでスプリンター界に新たなスターの誕生を感じさせられました。そういえば、2年連続でスプリンターズSを制したレッドファルクスもここで頭角を現しましたし、同じ馬主様ということもあり、期待が膨らみます。
2着にはアレスバローズが入りました。ここまでぐちゃぐちゃなレースが多くなり、このタイミングで見直しだなと思っていましたが、返し馬の様子からも道悪でも大丈夫だなと感じました。4コーナーでは最内の後方を進んでいましたが、外へ広がる馬群をよそに内を突いて、もう少しで連覇!というところまできました。やはり、ずっと言い続けていますが素晴らしい夏馬ですね。暑くなればなるほど本領発揮してくれる馬だけに、今年のサマースプリントシリーズも本命になると思います。
福島ではラジオNIKKEI賞が行われました。勝利したのは福島出身の田辺君とブレイキングドーンのコンビでした。今回の出走馬の中では、実績も雨耐性も全てがデータでは上位にきていた馬だっただけに注目していましたが、田辺君も今回は強気で乗りましたね。内に入れ込まれることが多い福島競馬場を知り尽くした走り方で外、外をチョイスしました。鞍上もここでは力が抜けていると踏んでいたのだと思います。そのことが功を奏したと言えるでしょう。
2着にはマイネルサーパス、3着にはゴータイミングが入りました。インコースで水かきを使い、見事に差してきたマイネルサーパス、外で馬の力を願ったゴータイミングと、騎乗方法は違えど、ここも水かきと適性がモノをいったレースになったと思います。ただ、次走を予想するにあたっては参考外のレースと思ってもよいかもしれません。
そんな雨に喜ばせた馬もいれば泣かされた馬もいる中、今週は福島では久しぶりに7月7日に七夕賞が、中京ではプロキオンSが行われます。七夕賞は7番の馬に注目したいところですが、私の注目はブラックスピネルです。なかなか目立つことがない馬ですが、今の福島の馬場にガッツあふれる石橋君であれば結果も出てくる気がしています。
道悪巧者クリノヤマトノオーも天候次第では注目度が上がります。その他にも見直したいロシュフォールやミッキースワローからも目が離せません。特にミッキースワローの菊沢君にとっては乗り替わりになった叔父・典ちゃんから返ってきての騎乗だけに結果を見せたいと思っているはずですからね。夏競馬特有の雨と暑さ、この2点が馬券攻略の大きな要因になりそうです!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。