元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
☆星☆
2019/7/10(水)
皆様、こんにちは!世間ではジャニーズ事務所社長のジャニー喜多川さんが亡くなったことが、大変なニュースになっています。ジャニーさんが生み出したアイドルは数知れず。先を見る目、成長させる技術と最高のプロデューサーであり、最高のトレーナーだったような気がします。競馬界で言えば、まさに敵なしの調教師というイメージでした。見えている景色が違う天才だからこそ、ここまで結果を出せたと思いますし、努力の天才でもあったのだなと追悼番組を見る度に思わされました。これから、どのようにテレビ界が変わるか分かりませんが、ジャニーさんの残した軌跡を楽しみたいと思います。
そして、競馬界ではセレクトセールが行われ話題になっています。とうとう、2日間で200億を超える売上となり、社台ファーム代表の吉田照哉氏も「ノーザンファームの馬はすごいね」と言わしめる結果となりました。もちろん、社台ファームやその他の牧場の馬もすごいのですが、今回の売上の超高額馬は全てノーザンファーム産駒だったことからも勢いそのままという形だと思います。1年後にはデビューを迎える馬も沢山購入され、新規参戦の馬主様達が多いに盛り上げてくれたセレクトセール。一体、どのようなスターが生まれてくるのか本当に楽しみです。
スターと言えば7月7日七夕には星の名前でもあるプロキオンSが行われ、北斗七星の意味を持つアルクトスが勝利しました。ここが試金石となるレースでしたが、逃げるマテラスカイが止まると、内から田辺君もここで出さないと負けるという厳しい競馬をしての勝利は、今後のダート界での新たな新星が現れたと思わされました。ペースは芝のレース級のラップとなり、しかし後ろからは届かない馬場だっただけに楽に追走できるかが大きなポイントとなっていました。
その中で、アルクトスは初めてのこのペースにも楽に追走できたこと、差すための根性があったことが勝利へと導いてくれました。やはり適性としては1400~1600mまでかなという印象で、秋に行われるチャンピオンカップを目指すよりはマイルまでで勝負してほしいなという思いがあります。七夕に勝ち星を獲りきった新星の今後に注目です。
福島ではトップハンデだったミッキースワローが七夕賞で菊沢君に重賞初勝利をプレゼントしました。レースは強気な攻めにも馬が対応してくれた、まさに家族の勝利だったように感じます。こちらも父がトーセンホマレボシと星がキーワードになったと思います。ましてや、プレゼンターの名前がミツキということで、まさに勝つべくして勝ったレースだったのではないでしょうか。しかし、ここで終わるような馬ではありません。更なる大きな勝ち星を撮ってもらいたいと思っています。
今週は函館記念が行われます。注目したいのはステイフーリッシュになります。馬を見ていると暑い環境は苦手に見えますし、涼しい函館で戻ってきた相棒に重賞初勝利のプレゼントをしてほしいと思います。このレースのポイントは中谷君が固くならず、早めに勇気をもって踏んでいけるかがポイントになっていると思っています。
復活してきたエアスピネルは福永君とのコンビで挑戦してきます。久しぶりの復帰戦に58キロと条件は厳しいだけに、ここでどこまでできるのかで今後のローテーションが決まってくるのではと思っています。その他にも前回は競馬にならなかったマイスタイル、休んでフレッシュな状態でさらに天気が晴れであればレッドローゼスにも注目しています。星がテーマになった先週から、今週は何がテーマになるのか。非常に楽しみです!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。