元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
馬場適性が全てだった中京
2019/7/24(水)
皆様、こんにちは!世間は吉本興業問題に揺れています。問題になった宮迫さんや田村亮さんの勇気を持った会見により、風の流れは一気に変わってきました。もちろん、本人たちが気軽にやったことが問題です。その上で、会社の社長として全体を守らなくてはいけない立場の場合、どう守るかが非常に重要になります。しかし、その対応をその場の憤りを感じたままに任せることをしたがために、今回のような騒動が大きくなったのだと思います。
会社として、社長としての資質だけではなく、人間としてどうすべきかを考えなくてはいけないところまできてしまったのかなと思っています。ギャラ問題でも、何も知らずに5:5、6:4の話に芸人たちは大きな声をあげています。しかし、会社全体での運営についてどこまで費用が引かれているのが分からない状態で、自分たちのギャラだけを見て文句を言ってはダメだと思います。そこは数々の費用が引かれての割合かもしれませんからね。
それでは夏の函館、中京、福島開催最終週の話に参りましょう。注目だったのは中京記念。今開催は1度も良馬場がなかったことからも、非常に難しくなっていた中京競馬。その中でマイル戦になってから初の3歳馬グルーヴィットと松山君が制しました。私の予想としても、まさにばっちりの内容で、やはりここでも馬場適性があったかというイメージでした。グルーヴィットはデビューもそこまで早くなく、初めの2走ではダート戦をチョイスされました。そこまでパワータイプという見方があったのだと思います。
しかし、成長していくとスピードが出てきたことからも芝へ挑戦し、G1でもスペースがあれば突き抜けていたというような走りを見せてくれました。今回の馬場は後ろからは届かない、そしてパワーが必要といった環境だっただけに、向くと思っていました。騎乗した松山君も、道中では少しズブくなる部分もありましたが、そこで諦めない姿勢を見せたことで馬も期待に応えてくれたのだと思います。
2着は重賞初挑戦となった森裕太郎騎手とクリノガウディー、新馬戦を制したコンビでした。道中は、少し行きたがる面を見せたことも確かですし、直線では内へ内へとモタれている部分がありました。そこを上手くできていれば、初挑戦で初制覇というのもあったと思います。路線をマイルに変えたことで楽しみが増えましたし、こういったコンビで、いつか重賞をとってもらいたいなと思います。
3着には1番人気のプリモシーンでしたが、本当にいい競馬をしたなというイメージです。人気やメンバーから福永君も勝ちに動いてのレースでしたし、牝馬にも関わらず55.5キロを背負っていたこともあります。そのことからも、今回は力負けというイメージはまったく持ちませんでした。まだまだ牝馬マイル戦では女王に近い存在だと認識されたレースとなりました。
今週からは小倉、新潟、札幌開催になります。新潟では名物1000m直線の戦いアイビスサマーダッシュ、そして札幌ではクイーンSが行われます。特にアイビスサマーダッシュでは、鮫島克騎手の重賞初制覇に注目が集まります。しかし、ここは枠順の発表が非常に大事になるレースでもあります。そのため、どの馬がどこの枠に入るか、それが最も気になります。その他にも、出脚が早い馬と長く脚を使う馬などで有利不利が決まってきます。そのため読めないレースでもあるのは確かです。しかし、鮫島君とライオンボスのコンビはそれを考えても大丈夫かなという印象ではあります。あとは斤量がどうでるか、本人がいつも通りのレースをできることが一番大事です。夏名物の直線勝負。ぜひ、枠順に注目して、レースを観てください!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。