元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
順位づけが明確になった結果
2019/9/19(木)
皆様、こんにちは!最近、非常に悲しい事件が続いています。その中でも、競馬界では引退した馬のタテガミを切り取り、アプリで売るというものが増えています。馬の髪だったらいいだろうと、そんな簡単な考えで行っているのでしょうが、所有されている方からすれば、無断で傷つけられたのと同じです。どこに、他人の家がオープンハウスになっている所にいき、意図的に傷つけ、盗みそして売るのでしょうか。各牧場側もこの事件により、多くの対応に追われると思います。監視カメラや見学者の管理など今まで以上にやることを増やさなくてはなりません。模倣犯も含め、まだまだ注意が必要だと思います。本当に悲しい事件だけに、解決し今後起こらないことを願っています。
先週の競馬は3日間開催でした。日曜日に行われたローズSでは、ダノンファンタジーがG1馬の意地で勝利しました。今週も川田君!といったところだったと思います。しかし、今回のレースは難しかったと思います。スタート一番、非常に素晴らしいゲートだったことを騎乗の川田君も逆にビックリしたと思います。そこから、この馬のことを考えると前に馬を置くために少し引いたポジションを取りました。しかし、下げたことで、非常に競馬のしにくいポジションに入ってしまいました。
迎えた4コーナーでは、少し待たされるところがありましたが、そこから一頭だけ末脚を伸ばし勝利しました。この走りができるならば本番の2000mも問題ないと思います。しかし、今回の競馬で新たな課題が見えたことだと思います。それでも、調教からビッチリとコンビを組むだけに、クリアしてくれるのではないのかと思っています。
2着にはビーチサンバが入りました。こちらは逆に完璧だったと思います。レースとしても、この馬とシゲルピンクダイヤ、ウィクトーリアは非常にいい競馬をしたと思います。それでも勝ち馬に足りませんでした。それは勝ちタイムがレコードだったこともあると思います。この3頭に関しては休み明けということも含め、力が足りない、距離が気持ち長いなどの不安要素が見えたレースになったと思います。女王ラヴズオンリーユーが出ないだけに、上がり馬を含め、同レースのメンバーの次戦での変わり身にも注目しています。
秋のG1まであと少し。阪神で行われる神戸新聞杯はリーディング1,2騎手の対決になるのではないでしょうか。怪物サートゥルナーリア対ヴェロックスは非常に楽しみです。サートゥルナーリアに乗るルメールにすれば、ダービーでの騎乗ができなくなった悔しさを取り戻すレースでもあります。ここで秋の路線を決めるでしょうし、負けられない一戦かなと思っています。強敵になるであろうヴェロックスは先週も勝った中内田&川田の黄金コンビ。こちらがどう対策してくるのか非常に楽しみです。
成長を期待しているのがレッドジェニアルです。春時点の走り方から、良くなりそうな予感があった矢先に重賞制覇となりましたし、もうひとつ成長していれば長距離では楽しみになる気がしています。その他にも力は本物シフルマンがいます。この馬こそ本番では重い印を打ちたい一頭だと思っています。今回の距離で、この強いメンバーでどこまでできるのかを見届けなくてはいけません。
中山で行われるオールカマーにはウインブライトが出馬してきますし、福永君に乗り替わるレイデオロがどこまでできるのかも楽しみなレースです。どちらも意外や馬券的に美味しいレースになる予感がしますので、是非、読み切って勝利を掴みましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。