元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
成長した世界レベル
2019/9/25(水)
皆様、こんにちは!とうとう巨人軍がやりました!先日、リーグ優勝を決めました。そして、驚きの発表がありましたね。今まで巨人一筋で巨人軍を引っ張っていってくれていた阿部慎之助選手が引退を発表しました。プレーだけでなく、若手を支え、まさに大黒柱の引退には寂しい思いしかありませんが、それでも彼が残してくれた思いや姿勢は、残った巨人軍のメンバーに確実に引き継がれているものだと思います。新たな道へ歩みだした阿部選手を応援したいと思います。
それでは先週の競馬を振り返りたいと思います。中山ではオールカマー、阪神では菊花賞トライアル神戸新聞杯が行われました。その中でも、神戸新聞杯ではサートゥルナーリアが圧巻のパフォーマンスを見せてくれました。今回、レース前の追い切りを見た正直な感想は、春の3倍は良くなっている怪物の姿でした。心配は折り合いだけだな、そう思っていました。そこに折り合いに定評のあるルメール騎手に戻ったことが、更なるプラスに働いたレースだったと思います。
レースはポンと押し出されるような形でシフルマンがハナをきる形になりました。1コーナーでこの形になったことで、これはスローのよーいドンになるだろう、そう思いました。その中、逃げるシフルマンを前に置き、内で脚をためたサートゥルナーリアは折り合いもつき、まさに盤石なレース運びを見せました。この時点で、この馬で決定だと確信しました。そのサートゥルナーリアを見るような形でヴェロックスがレースを進めました。
鞍上の川田君としても、相手はこの馬のみといったレースに、少し期待しましたが、4コーナーでは唸るような手応えでサートゥルナーリアが上っていきました。そして、直線ではルメール騎手が後ろを振り返るほどの余裕を見せてノーステッキで圧勝しました。やはり、内で脚をためて爆発させれば、本当に素晴らしい走りをしてくれる馬だなと思ったのと、改めて怪物級だということを認識したレースになりました。
次走は菊花賞ではないとのことで、無事であれば天皇賞(秋)に向かうと思います。そうなれば、斤量や距離も含め、本命候補に踊り出るのではと思っています。私の予想では、アーモンドアイにルメール、サートゥルナーリアにはスミヨン騎手が配置されると思っています。兄の背を知り、折り合いをつけさせても世界で5本指に入る名手スミヨンであれば、圧勝もあるのではないかと思っています。どうなるかはお楽しみですが、是非、その形になってくれれば伝説の天皇賞(秋)になる気がしています。
ヴェロックスにとっても決して悲観する内容ではなかったと思います。レースも最高の形で終えましたし、あとは本番菊花賞に向けて、距離適性のみが心配になってくると思います。3着にはワールドプレミアが入り、ここまでの馬に菊花賞の優先権が出ました。その他にも4着レッドジェニアルも非常にいい走りをしていましたし、6着に敗れるも得意とする形にならなかったシフルマンも次は更に良くなる気もしています。本番は混戦が予想されるだけに、この2頭からも目を離してはいけないと思います。
中山では秋のG1シリーズがスプリンターズSと共に始まります。グランアレグリアとステルヴィオの回避は予想外でしたが、このことにより、ルメールがタワーオブロンドンになることは非常に大きな出来事だと思います。そのタワーオブロンドンに対抗するのが川田君とのコンビで迫力が出てきたダノンスマッシュです。この2頭が中心になるレースだと思います。しかし、ルメール騎手の中山1200mはイマイチ好感がないのも事実です。そのため、私の本命はやはりダノンスマッシュと思っています。もちろん、枠の並びなど多くの要素がまだ判断するためにはいりますけどね。
その他では松若君の初G1が懸かるモズスーパーフレアに注目しています。よそ行きの競馬をしなければ面白いのではないかと思っています。3歳牝馬で挑戦してくるディアンドルやイベリスがどこまで通用するのかも見ておきたいと思います。2強がそのままの結果を出すのか、はたまた他の馬が王者に輝くのか、非常に楽しみなG1になりそうです。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。