元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
空気の読めないイギリス人
2019/12/19(木)
皆様、こんにちは!東京オリンピックの聖火ランナーに、競馬界から豊ちゃんが選ばれましたね。滋賀県を、いや日本を代表するスポーツ選手だということを改めて認識し、嬉しく感じました。その他にも滋賀県からはボクシングの山中さんなどが選ばれています。是非、走る際には応援しに行きたいなと思いました。走るといえば、師走も半分を過ぎ、年末・年明けが迫ってきました。本当に1年が早いですね。何をしていたのか全く覚えていませんよ(笑)。ただ、2019年は平成から令和へと変わり、目まぐるしく変化が起きた年だったと思います。
その令和、最初の2歳混合G1朝日杯フューチュリティSが阪神競馬場で行われ、見事サリオスとライアンムーアのコンビが制しました。この血統は以前から注目していましたが気性の粗さが先にきて、なかなか走ることに集中できないと思っていましたが、このサリオスは流石、世界の堀調教師と言わんばかりに乗りこまれ、迎えたデビュー戦では、圧巻の走り。すぐに、これはG1を獲る馬だと確信しました。その後の結果を見ても、恐ろしい能力があるなと感じています。それではレースを振り返りましょう。
レースはパドックで少し太めに映ったビアンフェが狙い通りのハナを主張しました。阪神競馬の先週の特徴として前が止まらないことからも、これはいいぞと思っていました。ペースとしても少し早かったですが、問題ない良いレースでした。その馬場を読み切り、いつもよりもポジションを前目に取ったサリオスとムーアは見事の一言でしたね。更に言えば、大型にも関わらずスッとポジションを取れたことも、馬のレースセンスが素晴らしかったと思います。直線では他の馬が坂で止まる中、一頭伸び続けた走りにも期待できます。
2着にはタイセイビジョンが入りました。聖火ランナー豊ちゃんとしては5度目の2着で、今回は「空気の読めないイギリス人がいた」ということでしょうね。本当に完璧に乗りこなしていましたし、本来ならば勝ち馬はこれだった。しかし、1頭別次元の馬がいたアンラッキーなレースだったと思います。こちらは来年からマイル路線に進むと思いますが、まだまだ楽しみが多い一頭だと思います。4着に入ったタガノビューティーも素晴らしい走りでしたね。初の芝にも関わらず、やはり期待していた通りの走りをしてくれました。こちらはダートも芝も走れることで、選択肢が広がりますし、注目しておきたいと思います。今回の朝日杯FSはレベルが高かったですね。来年のクラシックでも、非常に楽しみなメンバー達でした。
そして、2019年の有馬記念が今週やってきます。メンバーは豪華も豪華。G1ホースが11頭も出馬しますからね。その中でも注目は、香港を発熱で止め、こちらに回ってきたアーモンドアイになるでしょうね。初めての中山コースで距離も2500mと初めての経験になりますが、強さは異次元ですから、どんな走りをするのか本当に楽しみです。ただ、紛れるコースだけに、力だけでは計れない結果が待っているかもしれません。
その対抗になってくるのが3歳馬サートゥルナーリアだと思います。前回のレースは本来の走りではありませんでしたし、今回は得意な右回りからも期待しています。その他にも、池添君騎乗のフィエールマンや着拾いに注目しているアエロリット、世界を制したリスグラシューなど本当に目移りするメンバーです。2019年の今年の漢字は「令」だっただけに、引退レースの令デオロに和ールドプレミアの令和馬券も注目を集めると思います。さぁ大勝負、有馬記念!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。