元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
2020年
2020/1/8(水)
皆様、明けましておめでとうございます。我が家のお正月はいつも通り、子供達や孫が集まりワイワイとした内容でした。毎年、こうやって集まってくれるのは本当にありがたいなと新年早々思いましたよ。そして、恒例になっている栗東トレーニングセンターの近くにある大野神社へお参りに行き、健康と安全を願ってきました。令和2年になり、どのような日々が待っているのか、本当に楽しみです。
それでは、まず2019年の最後のG1ホープフルSを振り返りましょう。今年からは有馬記念と順番が逆になるようで、年末ラストG1としてはこれが最後かもしれませんね。そんな中、注目を集めたのが無敗のコントレイルとヴェルトライゼンデとワーケアの3頭でした。しかし、この強豪の中でも別次元の走りを見せたのがコントレイルでした。矢作厩舎は有馬記念に続くG1勝利となり、最高の令和元年となりました。
リスグラシューといいコントレイルといい、ずば抜けて強い馬が勝つのは見ていても気持ちよかったですね。今年のクラシックも本当に楽しみになったと思います。ダービーとなるとまだまだ課題はあるかもしれません。それでも、現在の3歳馬の中でずば抜けていると思います。上手くいけばディープインパクトの再来を見られるかもしれませんね。
年明け1月5日から2020年の競馬が始まりました。今年はイレギュラーに日曜・月曜の開催となりました。初日の日曜日には東西で金杯が行われましたが、まずは落馬事故の話をしましょう。初日の中山7Rで大塚騎手が最後の直線で、外の馬に併せにいきました。しかし、その時すでに後ろにいた三浦君は手綱を引っ張る形となっていました。思わず「危ない!」と叫びました。しかし、大塚騎手は夢中になっていたのでしょう。更に外に行き、尚且つ前の馬に引っ掛かり落馬。後ろにいた三浦君も避けようがなく落馬しました。
その後の映像を見ていても、大塚君は頭を強打しているように見え、三浦君は鐙が脱げずに右から左に振り回されるような形で落馬しました。三浦君は骨折、大塚君は脳挫傷と発表がありました。2020年さぁここからだという時に見たくなかった事故でした。今回は大塚君の技術不足が生んだ事故だったと思います。両者の早い回復を願っています。復活した大塚君がこのことを受け止め、成長という形で三浦君に、そしてファンの皆様に、亡くなってしまったラッキーアドバンス号に見せてほしいと思います。
三浦君騎乗予定だった馬がトリオンフの中山金杯をはじめ沢山勝ったことも心が痛かったですね。トリオンフは調子さえ整っていれば確勝級だなと思っていましたから。大きなケガから復活し、自己最多の100勝を超える勝利の後で「2020年はG1」と意気込んでいたでしょうし、本当に悔しいと思います。ショッキングな事故は、最善の注意や技術向上で防ぐしかありません。今週から事故がないように祈りながら観ていきましょう。
今週は土、日、月の3日間開催になります。そんな中、日曜の京都では伝説となりつつあるシンザン記念が、月曜日にはフェアリーSが行われます。シンザン記念はアルテミスSで2着に入ったサンクテュエールが中心になってくると思いますが、前走で初芝ながら素晴らしい走りを見せたタガノビューティーからも目が離せません。そのほかにも才能豊なルーツドールにも期待したいですね。何よりも安全にケガのない戦いを望みます
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。