元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
これがルメール
2020/1/15(水)
皆様、こんにちは!今年は本当に暖冬ですね。我が家では、冬になるとガスストーブ・こたつ・エアコンと3種の神器のように活用させて寒さから温めるのですが、今年はほぼガスストーブやエアコンの活躍がありません。よく、北海道生まれなのに、この寒さで寒いの?と言われるのですが「寒いものは寒い」。そして、何より北海道民はすべて必要以上に暖かくすることになれていますからね(笑)。今、考えれば産まれてから数えても、栗東にいる時間が大きく上回っているにも関わらず、根っこの部分はまだまだ道産子の私です。もちろん、ふかし芋に塩辛もしますからね!
そんな暖かい気候に驚きながらも、競馬場に向かう皆様にとっては、ありがたい暖かさの中、3日間開催が終了しました。日曜日はシンザン記念が、月曜日にはフェアリーSが行われました。その中でも、名馬が誕生するレースでもあるシンザン記念は見ていても楽しかったです。今年は例年よりも小粒なメンバーになった様に感じましたが、そんな中、1番人気にはフィエールマンの妹のルーツドールが選ばれ、2番手にはサンクテュエールが選ばれました。
スタートでサンクテュエールが少し遅れる形となる中、ヴァルナがハナを主張していきました。2番手にはプリンスリターンがつけ、平均ペースで流れました。そんな中、3番手にはサンクテュエールが出遅れもなんのそのポジションをとっていました。ここが、今回のポイントだと思います。鞍上ルメールの素晴らしさが存分に出たレースでしたね。出遅れても、かかることを恐れずにポジションを取りにいきリラックスさせました。これは、本当に難しいことです。最近では、川田君もこの技術にトライしていますが、ルメールは本当に格別でしたね。その後も、内から外のプリンスリターンを見ながら進めると、勝負所では一気に内から抜け出し、ラチと外の馬をうまく使いながら勝ち切りました。
2着は人馬共の初重賞を狙った原田君とプリンスリターンでした。着差が着差だけに、見ていると今回は原田君に勝たせてあげたかったなと思うところもありましたが、レースはそれ以上の差があったと思います。乗っていた原田君としては、あと少しだったという思いもあるはずですがね。見ていた私達ですらルメール譲ってよってなりましたからね。しかし、これも競馬。強い相手に勝つためには、さらなる何かが必要となります。今回は100点の競馬に展開だったと思います。それでも叶わないのが重賞でありG1です。だからこそ、満足せず挑戦してほしいと思います。埋もれるにはまだまだ早いですから。
今週からは3場開催になります。京都競馬場の工事に伴い、重賞競走が競馬場と紐づいていないのもありますので、お待ちがえなく購入して頂けるようにお願いします。土曜日は小倉競馬場で愛知杯が行われます。冬の小倉に一流騎手が多く集まりそうでワクワクしています。私の一番注目馬はフェアリーポルカになります。脚質的にも小倉に替わった今回はプラスに働くような気がしています。その他にもサラキアは折り合い次第でしょうし、センテリュオもルメールが乗りにくるだけはあるのではないかと思っています。
日曜日には京都競馬場で日経新春杯が行われます。何といっても、ここはアフリカンゴールドを応援したいですね。去勢し、粗々しかった気性も落ち着いてきましたし、ここで勝っておきたいはず。しかし、そこにハンデも手頃な森田厩舎の2頭が大きな仕事をしてくれそうな気もしています。まだまだお正月気分が抜けない今週ですが、大きなお年玉はここかもしれません!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。