元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
天才の息子たちの躍動
2020/4/27(月)
皆様、こんにちは!噂になっていたアベノマスクの配送が始まっているみたいですね。栗東のような田舎にはまだまだ届いてはいませんが、2枚とはいえ、来れば来たで役に立つなと思ってしまいます。しかし、ここでまた政府への疑問がでてきましたね。マスク制作費のうち、何十億ものお金の出所を隠すといったことをしています。3社までは金額や量を発表し、残りの1社を隠す。いつまでたっても隠蔽体質というのは治らないんだと、諦めの感情になってしまいました。
マスクといえば、騎乗時にダート板というマスクをする騎手が多くいます。私の時代にはなかったのですが、硬い下敷きやテーブルクロスを切り、ヘルメットにゴムバンドをつけて使用しているようです。これで顔に飛び跳ねる砂や芝、高いゴーグルの品質も守ることが出来るようです。ドクター中松さんが開発したマスクと作りは全く一緒なので、この状況だけに騎手からはまだ感染報告はないですが、普段からダート板をつけていれば飛沫感染は減らせるなと一人思ってしまいました。
まだまだコロナに揺れる中、G1はお休みも熱い戦いが行われました。その中でもマイラーズCでは、インディチャンプが貫録の勝利を見せつけました。2歳の時からこの馬は別格だと思っていましたが、両マイルG1を制したことで馬が自信をつけ、マイル王者としての風格が出てきましたね。レースはスタート前にフィアーノロマーノが除外になる、ヴァンドギャルドが出遅れる形に。これで勝負は決まったという瞬間だったと思います。
インディチャンプはスタート良く、強い馬が勝てるポジションについたことから勝利を確信しました。直線では逃げる前の2頭を見ながらタイミングを計り、抜け出しての勝利は圧巻でした。まだまだ余裕のある仕上げだっただけに、本番の安田記念連覇に向けても完璧だったと思います。騎乗した祐一君も、トライアルとして最高のレースができました。
3着に敗れはしましたがヴァンドギャルドと岩田望君も重賞に慣れてきましたね。スタートが下手な馬と分かっていたこともありますが、出遅れた後の対応に成長を感じました。馬を急かすことなく、この展開で直線一気を狙ってみるというのは度胸のいることですからね。馬場や展開を考えれば、今回は勝ちに繋がりませんでしたが、中途半端に追いかけるより、勝負がかった騎乗に徹したなという印象を受けました。
東京で行われたフローラSでは天才の息子、横山武史君がウインマリリンでやりましたね。よく勝つようになったなと思っていましたが、ここでとうとう重賞制覇を成し遂げました。レースではムチを滑り落としてしまいましたが、その後の気迫のこもった騎乗は本当に素晴らしかったですね。父、典ちゃんとは別の騎乗スタイルですが、典ちゃんに教えられた競馬のノウハウが伝わっているのがすごく感じます。横山家の末っ子は、まだまだここからだと思います。
移動制限や無観客競馬が日本ダービーまで延長され非常に残念ではありますが、施行できるだけでもありがたいこの状況で、工事前最後の天皇賞(春)が京都競馬場で行われます。しかし、私の大本命ユーキャンスマイルの岩田康君が落馬負傷で騎乗できなくなってしまったのは非常に残念でなりません。レインボーラインで制したようなレースを期待していただけに、本当に残念です。
そんな当レースの本命はフィエールマンになると思います。凱旋門賞からのダメージをリカバーしながら有馬記念では良い走りをしていましたし、盤石か?と思いはするも、やはりユーキャンスマイルが気になってしまいます。その他で面白いのはトーセンカンビーナやモズベッロあたりになりそうです。長い長い、天皇賞(春)を制するのはどの馬か?暦はG.Wもステイホームで競馬を楽しみましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。