元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
コバンザメが得た大物
2020/5/11(月)
皆様、こんにちは!もう何度書いたことでしょうか。コロナという文字を見るのも嫌になってきましたが、まだまだ終息に向けては必要不可欠なものが多くあります。そんな中でも、生活スタイルを変え、全員が終息に向けて動き、自分達の生活を変えられているという事実に、同じ地球に住む人間としてうれしく思っています。生活を変えることで見えてくる今までの無駄やスタイルを変更するためには、非常に有意義な季節と前向きにとらえるようにしています。普通が普通じゃなくなる毎日に、自分達がどう戦うのか。負けてはならないですね!
そんな中ですが、日曜日に母の日がありました。遠くに住む息子から化粧品が届いたり、近くにいる娘や孫からは手作りケーキがきたりと楽しい一日になりました。私はというと毎年恒例の花を買いにいけずに、今年はステイホームでおとなしくしていました(涙)。
母の日には東京競馬場でNHKマイルCが行われました。レース前にはサトノインプレッサが圧勝するのではないかと思っていました。しかし、土曜日からレースを見ていて、本当に力が抜けた馬しか外から差して勝つのは難しい馬場になっているなという印象でした。そのため、前目につけられる馬たちで決まるなと思いながら真ん中から内の馬の返し馬に注目しました。その時に、シルクの2頭が非常にいい返し馬だなと思ってみていました。しかし、ラウダシオンは1400mまでだろうな、ギルデッドミラーは前走から更に良くなっているけどこのメンバーではなと思っていました。
そして、ゲートがきられました。内からレシステンシアとルメールがそうそうとハナを奪うと外からラウダシオンとミルコが少し出しながらも競りかけてきました。ここでハナにいるのがルメールと見ると、少し抑えながらルメールのペース配分を信頼して、まるでコバンザメのようにぴったりとマークしました。ペースとしては平均で、この馬場を考えても前で決まりだなと見ていました。
道中のサトノインプレッサは枠順からも厳しい競馬になっていましたし、ルフトシュトロームも位置取りが一発を狙いすぎた結果、悪い方に転んでいたからです。そんな中、レシステンシアが追い出すのを待ってラウダシオンとミルコが追い出しました。見ていた手応えの違いからも、これは決まりだなと思いましたね。
馬場を読みコバンザメ戦法で見事に勝利をあげました。これは見事な騎乗というところもありますが、一番驚いたのは馬の力の差でした。ここまで出し切れていなかった力が展開、馬場が向いたとはいえ、着差以上の差があったように見えました。ただ、今回は馬場などレース展開としても向いたところがあったことも確か。3歳のマイル王は決定となりましたが、私の中では決定!と言いきれないところもあります。
さぁ3歳マイル王の次は牝馬マイル最強決定戦ヴィクトリアマイルが東京競馬場で行われます。ドバイ中止により、ここに照準を絞ってきたアーモンドアイが出走します。伝説の名馬がここでも課題クリアとなるのか、それとも待ったをかける馬が現れるのか非常に楽しみです。
対抗馬としてはクロノジェネシスの姉ノームコアがスプリント戦からのレースに順応できれば選ばれるのではないでしょうか。ラヴズオンリーユーも得意距離ではないかもしれませんが力はありますからね。その他でも本格化して重賞連勝中のサウンドキアラから目が離せません。しかし、今の東京の馬場がどう変化するのかも非常に重要になります。運気が乗っている人にコバンザメで勝ち馬を当てましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。