元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
血だらけの勝利
2020/6/8(月)
皆様、こんにちは!まだまだコロナ渦の中にいますが、私にとっては嬉しいニュースを聞きました。日本プロ野球が6月19日に開幕されるという内容です。毎年毎年、ご飯を食べながら巨人の試合を観て、楽しむというのが当たり前になっていたため、野球がない夜は本当に寂しかったです。もちろん、今でもVS嵐を見る楽しみはあるんですが、嵐が活動休止になってしまうことを考えると、楽しみが減っていく悲しさはあります。その他にもポツンと一軒家や家族に乾杯など、見ている番組はあるんですけどね。今年の巨人はどうなるのか、楽しみでなりません。
そんな中、巨人軍のような豪華なメンバーで安田記念が行われました。アーモンドアイ、ダノンプレミアム、ノームコア、インディチャンプ、ペルシアンナイト、ケイアイノーテック、アドマイヤマーズ、ミスターメロディー、グランアレグリア、セイウンコウセイと全14頭のうち、ほとんどがG1馬という状況で行われました。馬場は前日の集中豪雨のため、上は乾くも下は非常にやわらかそうなイメージを受けました。無観客のファンファーレにも慣れ初めましたが、まだまだ違和感がある中、ゲートインが完了。
スタート直前、圧倒的人気のアーモンドアイがゲートに突進しました。そのタイミングでゲートが開いたため、出遅れる形になってしまいました。しかし、楽に追走できたことからもルメールとしては、いつもの瞬発力なら大丈夫と構えたレースになりましたね。それを見逃さなかったのが、池添君とグランアレグリアでした。前走1200mだっただけに折り合いがつけばと思っていましたが、アーモンドアイのポジションを見ると、前目を取ることなく折り合いにだけ専念しました。その内にはインディチャンプがいて、このラインで決まるのではないかなと思っていました。
3コーナーでは緩くなった芝の塊が池添君に激突し、血だらけになる中で迎えた4コーナー。叩き良化型と言っていたアドマイヤマーズは騎乗した川田君も特性を分かっているため、早め早めと押していくも、反応が鈍くなかなか動けない間に、朝日杯FSでは外から被されたことで負けてしまったグランアレグリアが、今回は逆に被しながら一気に交わしていきました。内からはインディチャンプ、外からはアーモンドアイが迫るも、見事振り切り勝利を挙げました。
グランアレグリアはもともと強いと思っていましたが、阪神Cの前の7か月の放牧。ここから馬のレベルが2段階ほどあがった印象でした。阪神Cの勝利を見た時に、これは1400~1600ならば敵なしだなと見ていました。前走はスプリント戦に挑戦も距離対応が難しかったこともあったため2着でしたが、その走りは今回の結果を予想できるほどの圧巻の走りでした。しかし、1200mから1600mのレースでは折り合いが難しくなるところ、鞍上も厩舎も万全に準備をしてきたなというのがわかる勝利でしたね。
2着には出遅れたアーモンドアイが入りました。歴史を塗り替えるG1・8勝目はお預けになってしまいましたが、やはり中2週が響いた印象がありますね。いつものダイナミックな走り方ではなくこじんまりしていましたし、ゲートもですが、やはり見えない疲れが調教のようなレースだったとしてもあるんですね。
3着のインディチャンプは落鉄があった中、非常にいい走りをしていました。本来ならば更に前に迫った走りになっていたと思います。秋のマイル戦線はこの馬とグランアレグリアの2頭が主役で間違いないと思います。しかし、豪華メンバーによるG1は本当に楽しかった。是非、こういった豪華メンバーのG1を宝塚記念や他でも見たいなと思います。
さて、G1はお休みに入りますが、G3は今週もありますし、皆が楽しみにしている函館開催が始まります。夏の暑い気候を避け、北の大地を盛り上げてほしいと思います。もちろん、まだまだコロナ渦のため、出前での楽しみ方になりそうですが。そんな中、東京ではエプソムC、阪神では今年も大荒れが予想されるマーメイドSが行われます。
エプソムCは馬場が緩くなればレイエンダに注目したいです。ただ、パンパンの馬場ならどうかな?という疑問はあります。才能で注目しているのはアンドラステになります。まだまだ底を見せていない馬だけに、ここでも上手くいってほしいなと思いますね。ピースワンパラディも才能がありそうですし、ここで能力を計りたいと思いもあります。ただ、東も荒れる可能性は十分かもしれません。今週からは3開催場!しっかりと馬場を見据えた予想をしていきましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。