元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
背中を押した思い
2020/6/17(水)
皆様、こんにちは!東京アラートが収まるも、新宿等の夜の街での検査によりコロナ感染者の数が増えたりと、第二波がくるのではないかとドキドキしています。しかし、これは考えを変えれば、無自覚や受診していない人が、まだまだ多数いると言い換えられると思います。現在行われている検査では、まかなえていないコロナ感染者はまだまだいるのではないかと不安になってしまいますね。そんな中、今年70歳ということもあり、妻と一緒に車の高齢者講習にいってきました。まだまだ若いと心では思っていても、体は年々と歳をとっていきますからね。しかし、昔と比べると本当に必要なことでしか運転もしなくなりましたし、今更ながらバスや電車に乗るのが楽しくなっています(笑)。
5週連続東京G1を終えても熱い週末は続きますね。函館開催も始まりましたし、東京ではエプソムC、阪神では伝統のハンデ戦マーメイドSが行われました。その中でも、やはりエプソムCが気になりましたね。勝利したのは、東京巧者ダイワキャグニーでした。これで8勝目となりましたが全て東京競馬場であげたものになります。レース前に馬主でもある大城敬三さんが亡くなられたことを聞いた鞍上の内田君は、絶対に勝つんだという強い意思が見えたようなレースだったと思います。
スタートとしてから1コーナーまででポジションが上手くはまりました。ハナをいくトーラスジェミニを目標にし、迎えた直線では前日から降り続いた雨のために後ろにいたメンバーが伸びあぐねる中、一気に前を交わすと、早めに抜け出しました。後ろから迫る音を聞きながら、馬が気を抜かないように、制裁になってしまいましたがムチでオーナーに勝利を届けるんだと強い思いが届き、勝利を挙げました。
2着にはソーグリッタリングが入りましたね。こちらも枠を上手く活かした競馬だったなという印象です。最近は池江厩舎と藤井勘一郎騎手のコンビは人気薄でも、注意して見ていたので、ここでも結果を出したなという印象を受けましたね。もちろん、枠も良かったですが、この馬の走りからも馬場が向いたということもあると思います。3着にはなんと逃げたトーラスジェミニが入り、馬券は大荒れとなりましたね。
4着ではありましたがアンドラステは初重賞でいい走りをしましたね。岩田望君も落ち着いた騎乗ができていましたしね。ただ、馬場や展開が向かなかったという思いです。しかし、この馬場や展開でも、近いうちに重賞を勝つ力があるなと思わされましたね。左回りにこだわって、マーメイドSではなくこちらに使ってきたと思いますが、もし右回りをこなしていれば更にチャンスがあったのではと思ってしまいます。牝馬ですし、ハンデも楽になるレースを選択すれば、岩田望君にとっては初重賞も遠くないと思いますね。
今週の話に行く前に、岩田望君の父である岩田康誠君があの大事故から1か月半での復帰を果たしました。まだまだ痛みはあると思うのですが、レースを見ていると本当に休んでいたのか?と思わされます。康誠君はインタビューなどではたどたどしいところが出てしまいますが、本当に馬の上が似合う男だなと思います。園田で騎手になった彼は毎日のように馬に乗り、レースに挑みをずっと繰り返してきました。
一緒に乗った騎手が口を揃えるように天才だと言わしめるほどのバランスと騎乗スタイルを確立しました。こんなに馬のことが大好きで、馬乗りが好きな騎手にとっての1か月半は本当に苦しかったと思います。そんな思いが彼の早い復帰を実現させたのだと思います。今回、復活後の1勝目はお世話になったアドマイヤこと故近藤オーナーの馬だったのも偶然ではない気がします。勝利後には涙を見せた康誠君。休むことで色々な角度から競馬を考えたのだと思います。
絶頂期に比べれば、情けなくなってしまうこともあったと思います。息子がデビューし、結果を出していく中、父としての背中を例え重賞ではなくても、任せてもらう責任を全力でこたえるのが自分の仕事だと見せてくれたような勝利だったなと思います。園田では親子でワンツーフィニッシュはありましたが、是非、今度は中央の重賞で親子の叩き合いを見せてほしいなと、まだまだ強い父親の最高の見本を背中で見せてほしいなと思います。
では、今週の競馬の話を行いましょう。函館では名物函館スプリントSが、東京ではG1馬を多数輩出しているユニコーンSが行われます。その中でも注目はユニコーンSに出走予定のカフェファラオになります。圧巻の2戦からも実力はルヴァンスレーヴを彷彿させるだけに、ここをステップにアメリカに挑戦してほしいなと個人的に思っています。
そこに待ったをかけたいのがレッチェバロックになるでしょうね。こちらは牝馬ということもあり54キロでの出走でどこまで迫れるかのレースになると思います。前走9馬身差をつけたアストロブレイクがその次のレースで圧勝したことからも、距離の延長以外の心配はないと思います。その他にも展開次第でタガノビューティーがどこまで迫れるのか、デュードヴァンが負けなしのダートでどこまで対抗できるのかというレースになると思います。早く大きな歓声に包まれる競馬を生で観たいと思いながら、今週も家のテレビで熱い戦いを見守りたいと思います。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。