元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
新時代
2020/6/25(木)
皆様、こんにちは!世間ではNEWSの手越祐也さんがジャニーズ事務所退所というニュースでいっぱいとなりましたね。会見も簡単に見ることができ、どこか違和感がある内容だったこともありますが、新しい時代の人間だなと感じさせられましたね。いい意味で、昔から大事にしていた日本人らしさがない感じがして、世代の交代を見せられた気がしています。ただ、彼のいう挑戦は結果が伴って、初めて形となると思います。その結果を出せるのかには非常に興味があります。果たして、新時代への扉を開くことができるのか、楽しみに見てみたいと思います。
そんな中、競馬でも新時代の訪れを迎えました。東京競馬場で行われたユニコーンSではカフェファラオが圧巻の走りで無敗の勝利を挙げました。新馬戦からケタ違いの力を見せてくれていた馬でしたが、2戦目では出遅れながらもマクり差し切りの勝利。レース内容が良くないにも関わらず勝ち上がったのは、まさに実力が抜けていたからだったと思います。迎えた第3戦となる今回は芝スタートも問題なく進み、逃げるレッチェバロックに終始プレッシャーを与えながら、最後は余裕の手応えで引き離した辺り、ルヴァンスレーヴの再来と確信を得ました。
今回の勝利でアメリカへの切符を手に入れましたが、果たして父の待つアメリカへの挑戦はどうなるのか、非常に楽しみです。ただ、日本のダートで圧勝していたとしてもアメリカ競馬は全くの別物ですから、行くにしても向こうの環境や馬場に合わせるだけではなく、馬の作り方から変えていく必要があるので、非常にリスクもあると思います。日本では3歳でチャンピオンズCの勝利をも狙える逸材だけに、リスクを取ってでも歴史に挑戦するのか、馬の人生を考え日本で過ごさせ、無理のない海外遠征に備えるのか、非常に難しい判断になると思います。
しかし、それほどの逸材ですし、管理する堀調教師の技術を持って、歴史を変えてほしいなとは思います。もちろん、オーナーや先生が無理のない人生をと設計していれば日本でまだまだ見られることも楽しみですが。ダートレースが少ない日本では、地方の競馬場も含めて難しいことがありそうですからね。
2着にはデュードヴァンが入りました。スタートで出負けすると終始後ろからの競馬となり、終いは最速の脚を繰り出すも、2番手から脅威の上がりを見せたカフェファラオのラップの刻みからも届くはずのないレースとなってしまいましたね。こればかりは、一緒に走った相手が悪いとしか言いようのない展開になってしまいました。人気になっていたレッチェバロックは、やはり距離の不安が出てしまいましたね。ルメール騎手であれば、ギリギリ保たせるのではないかと思っていましたが、相手が悪すぎましたね。今後は1200~1400mで活躍してくれるのではないかと思います。
もうひとつ、ルヴァンスレーヴの復活を期待した帝王賞が行われましたね。勝利したのはドバイ中止から帰国したクリソベリルでした。走りは圧巻の内容で、素晴らしい勝利でした。レースはスタートからポジションを取ると、スローの流れに。そこから1番人気のオメガパフュームが早めに動く中、合わせて素晴らしい反応でスピードアップすると、そこからさらに引き離し、この豪華メンバーに2馬身差をつけて勝利しました。
不安のあった仕上がりやドバイ帰りを全て払拭しての勝利で日本では負けなしの7連勝となりました。この状態でこの走りなら、これから先の敵はカフェファラオの成長次第かなと感じました。2着のオメガパフュームは前走59キロで走りすぎたこともありますが、展開を考えても、スタートがスムーズだっただけに、ひらめきで違うレース展開を選択していればと思わされるところもありましたね。しかし、相手が悪かったというのもまた事実です。
それでは今週の競馬の話をしましょう。上半期最後のG1 宝塚記念が行われます。毎年、馬場が気になるレースですが、今年はどんなドラマが待っているのか、非常に楽しみです。そんな私の注目はサートゥルナーリアになります。調教でも素晴らしい走りを見せていましたし、とうとう完成の域に入ってきた怪物を止められる馬はいないと思っています。
2番手にはラッキーライラックが選ばれるでしょうね。こちらはリスグラシューのような成功ストーリーと重なる部分があるだけに、期待している人も多いと思っています。ただ、大阪杯とは違い、牡馬のトップランカーとどこまで戦えるかがポイントになりますね。その他にも復活を期待したいワグネリアンや海外で見せた走りをもう一度のグローリーヴェイズ、改めて圧巻の走りを見せてほしいクロノジェネシスと難しい相手選びになるレースと感じています。新時代への扉はもうすぐです!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。