元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
スイカ
2020/8/3(月)
皆様、こんにちは!とうとう梅雨が明けて真夏がやってきましたね。外へ一歩出ればセミとカエルの合唱を聞き、あー今年も夏がきたなと感じています。早いもので8月に入り、我が家では妻が誕生日を迎えます。そんな時、もの凄く大きな荷物が誕生日プレゼントとして突然届きました。何かなと開けてみると、妻の大好物の大きなスイカが息子から届けられていました。
その日のうちに切ってみるとみずみずしくて、冷やして食べると甘いのなんのって。あまりの美味しさに、家庭農園にはまっている私はすぐさまスイカの種を植えてみました(笑)。芽が出るかはわかりませんが、ここでスイカができたら面白いし、スイカの血統を引き継いでいけるのになと、競馬のようなロマンを考えていました。
さて、血統はロマンの競馬の話をしましょう。先週は札幌競馬場でクイーンSが行われました。スイカが届いたことからも緑帽と黒帽に注目をしてみていたのですが、勝利したのはスイカの中の色レッドに白種の色、白帽レッドアネモスと吉田隼人君でした。2着には緑帽のスイカ割りを想像させるビーチサンバ、3着にはスカーレットカラーとまさにスイカ馬券になりました。レースは枠順の並びからもナルハヤがハナを奪うのでは?という思いと、コントラチェックはハナを奪えないと厳しい戦いになるからどうでるのかを楽しみに観ていました。
ゲートが開くと、早々とナルハヤがハナを取りきり、後ろからタガノアスワドがつける形となりました。その外につけたコントラチェックは、少し折り合いに苦労しているように見えました。ここで、少し1800mが長くなってきていると危惧していた同馬の走りを見て、これは止まると感じました。そのため、後続群のコース取りが非常に重要になるぞ!と思いながらレースを見ていました。
迎えた4コーナーでは1番人気のスカーレットカラーがインを選択しました。そして、ひとつ前にいたレッドアネモスは外を選択しました。この時、すでに外を選択していたビーチサンバは少し膨らむ形でスパイラルカーブに入ってしまいました。直線では岩田君が進路を探すのに苦労している間に、レッドアネモスと吉田隼人君のコンビが抜け出し、見事な勝利を挙げました。秋華賞後に増えた体重を戻し、さらに減らしても結果が出ず、今回少し戻したことで、本来のキレのある体へと成長をしました。レースで結果が出なかったことから、たくさんの施策を打ちながら、ここに仕上げてきた厩舎力は流石の一言でした。
2着にも同厩舎のビーチサンバが入りましたが、こちらは新馬戦以来の勝利とならず残念でしたね。重賞では3回目の2着でG1でも3着が1回と厩舎の先輩エタリオウのようになってしまう結果となりました。どちらも力がある馬だけにきっかけひとつですが、そのきっかけが難しいのだと思います。3着に入ったスカーレットカラーは岩田君ならではの騎乗を期待しましたが、今回は運がなかったということでしょうね。しかし、岩田君の騎乗があったからあそこまで末脚を出せたということは忘れてはいけません。最近は乗り替わりが頻繁に行われるだけで、そのまま長所が消えていくことも多くあります。だからこそ私はもう一度、岩田君とのコンビに期待したいです。
今週から暑くなる中、新潟ではレパードS、札幌ではエルムSとダート重賞が2つ行われます。レパードSはG1の登竜門でもあるために非常に楽しみにしています。その中でも注目はデュードヴァンになります。前走も物凄い走りをしたカフェファラオに次ぐ2着に入り、直線の長いコースは非常に向いていると思います。前回、直線一気の競馬をしたことで、ポジション取りがどうなるか難しいところですが、今の能力があれば勝ち切れるのではと思っています。
その他に人気が集まるのはラインベックでしょう。しかし、前回あまりに楽な勝利になりましたし、逃げることができなかった場合どうなるのであろうという不安が隠しきれません。そのため、私の穴注目としてはダンツエリーゼを選びたいです。色々と足りないところはあるかな?と思いつつも暑くなることからも牝馬に注目し、更に前回の走りからも直線の長いコースは合うかなと思いました。
エルムSでは前回の初ダートからも注目したいエアスピネルや復活勝利を挙げたタイムフライヤーに人気が集まると思います。その中、走りが安定してきているウェスタールンドがここでも好走してくれるのではと思っています。最近の重賞競走では1番人気が勝っていないことから混戦が予想されるだけに、両重賞とも難しくなるかもしれません。まだまだ油断のならない状況ですが、せめて競馬で皆様の気持ちが晴れるようなレースを期待しましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。