元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
父を超えた瞬間
2020/10/28(水)
皆様、こんにちは!今週は衝撃の嬉しいニュースに驚かされましたね。お笑いコンビ99の岡村隆史さんが、結婚していたことが分かりました。いつもゴチになりますで、ウーバーイーツの配達員が今どこにいるのかを見るのが楽しみと言っていた岡村さんがまさか結婚していたなんて、本当に驚きました。しかし、精神的に弱い部分のある彼に、この結婚は後押しになるものかもしれません。コロナ離婚など一緒に時間を過ごすことが多くなることでマイナスなニュースが多くなる中、コロナ結婚という新たな形を聞くことができて嬉しい気持ちになりました。苦しい状況が続きますが、それでも前を向いて歩いていきましょう。
それでは先週の競馬を振り返ります。無敗で牝馬3冠を達成したデアリングタクトに続けとコントレイルが3冠レース最後の菊花賞に挑み、無敗の3冠を達成しました。馬場に距離にと、全てが彼にとって厳しい条件でしたが、それすらも全て振り払っての無敗の3冠は非常に価値ある勝利になったと思います。
鞍上の福永君も3冠騎手という称号を手に入れ、比べることはできませんが父の洋一さんを抜いたといっても過言ではない騎手になった瞬間に感じました。昔と今の競馬は違いますし、技術は凄かったということは可能です。もちろん比べることでもありませんが、デビュー時から自分自身の能力を俯瞰の目で見ることができ、その体をどう扱ったら戦えるのかを常に考え挑戦してきた努力が結果として出たこと、それを評価するならば父を超えたという言葉が一番しっくりくるように感じました。
レースはスタートからバビットがハナを主張すると思っていましたが、外からキメラヴェリテが一気の脚で奪いました。2番手にバビットがつけるも、この展開は非常にバビットにとっては苦しい展開となりました。それを見ながらコントレイルは中団のポジションを取ることができました。しかし、外にはアリストテレスとクリストフがぴったりとマークをつけました。長距離レースで折り合いを欠くことは、勝つ可能性を大きく削られることと一緒なのですが、少し落ち着いたペースと横からのプレッシャーを与え続けられた結果、向正面では行きたがる素振りを見せるようになりました。
ここで鞍上の福永君は必死に折り合いをつけようとしていたのが見受けられました。我慢できなければやられることを誰よりも感じたと思います。迎えた直線では、一気に抜け出しを図るも、マークしていたアリストテレスも抜群の手応えで併せ馬の形になりました。ハーツクライでディープインパクトを倒したクリストフがまた日本競馬の歴史を、その素晴らしい技術で変更させるのか?と思いましたが、コントレイルが寄れたタイミングで少し接触したことでバランスが崩れ、最後はどこまで行っても縮まらない差と感じるような形でゴールしました。
このレースに耐えた馬の精神は逞しく、鞍上の福永君や2着のアリストテレスとクリストフも本当に素晴らしいレースで、思い出に残る3冠達成となりました。個人的には不得意な距離と馬場、そしてタフなレースをしたコントレイルにはお休みをしてもらって、来年ドバイでの挑戦を見てみたいなと思いました。今後の予定も注目していきましょう。
そして、今週は東京競馬場で天皇賞(秋)が行われます。日本史上初の国内G1 8勝目を達成することができるのかアーモンドアイとクリストフが挑んできます。新たな日本競馬の歴史が刻まれることを願っていますが、ライバル達もちょっと待ったと名乗りをあげてくるでしょう。その筆頭となるのが同じ牝馬のクロノジェネシスではないでしょうか。宝塚記念は圧巻の走りで、リスグラシューが辿った名牝の道と重なるような気がして非常に気になっています。
他ではフィエールマンがこの距離でどういった走りを見せてくれるのでしょうか。しかし、非常にパワーがあり乗り難しい馬だけにどうなるかも気になりますね。穴候補ではスカーレットカラーに期待したいですね。切れる脚があるだけに、複勝圏内に突っ込んでくる可能性も十分です。騎手と共に復活を狙うウインブライトと松岡君のコンビも楽しみに見たいと思っています。歴史は常に塗り替わるもの。現代の結晶を見ることができるか!?今週も共に歴史の目撃者になりましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。