元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ハッピーバレンタインはラヴラヴハート
2021/2/16(火)
皆様、こんにちは!バレンタインデーの後の15日に71歳の誕生日を迎えることができました。もう71歳なのかと自分で驚いてしまいました。60歳くらいまでで自分はこの世からいなくなるのだろうなと思っていた時期もありましたが、まさかそれから11年、しかも元気に過ごしています(笑)。孫も沢山生まれ、この子が成人するまでは!や、この子が中学に行くまでは!と、新しい目標ができたのも良いのかも知れません。
コロナの状況でなかなか会えないですが、それでもしっかりと私の目標になってくれている孫達です。遠くに住む息子は私が寒がりなのを知っておりいいカーディガンを、近くの息子からはご飯にいく!?と誘ってもらいましたが、状況を鑑みて家で孫とご飯を食べました。あと何回迎えられるか分かりませんが、孫に祝ってもらえる誕生日は本当に特別な日になりました。
そんな私の誕生日前日のバレンタインデーには阪神競馬場で京都記念、東京競馬場では共同通信杯が行われました。なるほど愛のある結果になりましたね。重賞ではありませんが、小倉メインでラヴィングアンサーが勝利。共同通信杯は無敗で母ケイティーズハートのエフフォーリアが圧巻の勝利。こちらは走り方が大跳びで非常にカッコ良く、花があるだけにダノンザキッドとの戦いは楽しみになりましたね。
京都記念ではラヴズオンリーユーが復活の勝利を挙げました。メンバーに恵まれたとはいえ、この勝利は本当に大きいものになりました。有馬記念で残念なレースになっていた当馬に川田君が3週間調教に関わり、ハミ換えの進言や馬の作り方を陣営に話してきました。これは今までの調教が悪かったというわけではなく、自分好みのアレンジを進言して変化を求めた。厩舎サイドもそれに応え、作り直したところが評価されるポイントです。
いつも川田君から出てくる「この馬にとって良かった」というコメントは馬が持っているポテンシャルを線で捉え、このレースだけでなく一生として考えているからだと思います。それを自分の経験から正しいと思うことをしっかりと伝え、結果を出すのですから、本当に素晴らしいと思います。インターネットでは川田君のコメントが怖いやキツイと見かけますが、彼の言っていることや貫き通している信念はスポーツ選手にとっては必要なことであり、曲がったことではないですからね。
だからこそ結果で証明し続けるしかなく、ずっと戦っているのだと思います。自分の進言に応えてくれた陣営が作り上げた馬のリズムを大事にし、ポジションを取り、押し切ることで勝利した。これほど評価できる勝利はないと思います。まだまだ体調としては6割から7割で走っているでしょうし、次はもっと良くなることだと思います。更に上のステージに行ってもらいたいラヴズオンリーユーが楽しみになった一戦でした。
早いもので今週はG1のフェブラリーSが開催されます。混戦が予想されるメンバー構成だけに、どの馬が抜け出すのか非常に楽しみです。その中でも私の中で圧倒的な一頭がカフェファラオになります。ただ、今までのレースでも道中を見ていると難しいところがあり、楽に走れないと厳しいことからもまずは枠順に注目したいです。そこに川田君が教えながら勝利できたレッドルゼルが対抗してきます。初のマイル戦になりますが、前回のレースができればと思っています。
前哨戦で素晴らしい走りをしたアルクトスもいますし、気分次第ではインティもG1馬の力を見せてくれると思います。その他に面白いのがサンライズノヴァになります。今回は適性ある距離になりますし、忘れた頃のサンライズノヴァ!に期待したいです。個人的には栄子ちゃんの担当馬オーヴェルニュも応援しながら、テレビにかじりつきたいと思います。2021年初のG1を制するのは一体どの馬か!?しっかりと見届けましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。