元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
名実共に
2021/3/8(月)
皆様、こんにちは!早いもので3月も大分と日が経ってしまいました。1都3県の緊急事態宣言が続く中、この環境にも慣れが出てきてしまいました。しかし、慣れた時こその油断を何よりも注意しなくてはいけません。新型コロナと言われ1年以上が経ち、やっと対応策としてワクチン接種が始まりましたから、あと少しの辛抱です。
そんな暗いニュースばかりですが、日曜に行われたR-1グランプリでは、W1優勝者のゆりやんが2冠を達成しました。ピン芸人として競馬に例えれば牝馬限定G1を制し、混合G1も制したということで、最強のタイトルを2つ持つタイトルホルダーとなりましたね。お笑い界のアーモンドアイことゆりやんのこれからのレース選択にも注目したいと思います。
さて、競馬界でも新たなタイトルホルダーの誕生です。日曜日に行われた弥生賞ディープ記念では、名実共にタイトルホルダーが重賞を手にしました。戸崎君が海外遠征から2週間の隔離期間中ということもあり、鞍上には横山武君が選ばれました。スタートから思い切りの良さでハナを奪うと、1000m通過1分2秒ほどのペースで重賞としては遅い展開となりました。2番手には展開を読んだルメールがすぐにポジションを取ったシュネルマイスター。3番手にはタイムトゥヘヴンがつける形となり、1番人気の王者ダノンザキッドはその後ろとなりました。
1コーナーの入りでも少しうるさいところを見せており、川田君としては前残りで負けても我慢させ、且つこのレースでガス抜きを行うことが次の本番に向けて1番大切だと思ったのでしょう。だからこそ4コーナー手前、タイムトゥヘヴンが動いたタイミングで動くか?と思った所でもまだ我慢させていましたからね。全ては本番に向けての布石となるようなレースにしたのだと思います。そして、逃げていたタイトルホルダーは4コーナーでも後ろがゆっくりしたため、非常に楽な展開となりました。脚質としても良い脚が長く使える当馬にピッタリの展開となり、そのまま引き離し見事な勝利を挙げました。
今回のレースはメンバーレベルも高く、非常に価値のある勝利となったと思います。横山武君にも素晴らしいタイトルが追加され、G1勝利も今年中に行ってしまうのではないかと思うほどの堂々とした騎乗に、ビックリさせられてしまいました。本番ではエフフォーリアもいる贅沢な悩みとなった今回の結果。どちらを選択しても非常に面白いレースになりそうな馬です。ただ、個人的にはダービーを見据え、エフフォーリアを選ぶのではないかなと思っています。そこの判断も非常に楽しみになるレースとなりました。
今週からは冬の小倉、通称フユコクが終了し中京競馬場の開催になります。中山、阪神との3場開催で一体どんな感動が待っているのかドキドキしています。土曜日には中山牝馬Sと阪神スプリングジャンプが、日曜日には中京で金鯱賞が、阪神ではフィリーズレビューが行われます。何と言っても最強牝馬デアリングタクトの始動戦となるだけに金鯱賞は注目が高そうです。ゆりやんのように今年は混合戦でも結果を求めていく年でしょうし、負けられない一戦になる気がしています。
そこに待ったをかけたいのはグローリーヴェイズではないでしょうか。海外G1の次は国内G1を狙いたいだけに、ここでアピールしたいところだと思います。それには更なる成長が欲しいだけに、この休み明けでどんな走りができるか楽しみです。絶好調ポタジェや今年こそ面白そうなブラヴァス、常に安定した結果を出しているサンレイポケットと伏兵たちが紛れ込み、馬券としても面白いレースになるのではないでしょうか。金鯱賞のタイトルを手にするのはどの馬か!?その結果は日曜日!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。