元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
新王ダノンスマッシュ
2021/4/1(木)
皆様、こんにちは。今日から4月に突入しました!新たなスタートを多くの方が切り始めたのではないでしょうか。ウチの孫長も高校を卒業し、本日より専門学校へとスタートを切りました。馬でいうと少しズブい性格だけに、新たな人生のスタートダッシュを決めてもらいたいなと思っています。競馬界では孫長の同級生にデビューした松本君がいて、それぞれの道を走り出している若者を見ているとなぜかこちらまでウキウキとした気持ちになってしまいます。お互い違う道ですが、たまに寄り道をしながらも、それでもゴールまでは間違わずに走り続けてほしいと願っています。
3月の最終競馬では、中京競馬場で高松宮記念が行われました。雨が降っていたせいで馬場の状態は最悪な中、勝利したのは龍王ロードカナロアの血を引くダノンスマッシュと川田君のコンビでした。師匠の安田調教師とダノンさんの組み合わせで2度目のG1制覇となり、相性の良さを見せた結果となりました。
これまで伸び悩んでいたダノンスマッシュですが、初のG1をスプリント界最高の舞台である香港で挙げると、一気に開花したようなレース振りでした。しかし、安田厩舎はよくここまで成長させたなと感心するばかりですね。川田君も非常に素晴らしいレースをしました。馬場が悪くなっていたことからも走り方的にマイナスだろうなと思っていましたが、能力だけでなく馬の気持ち、コース取り、全てが完璧だったと思います。
スタートから松若君とコンビが戻ったモズスーパーフレアがハナを奪う展開になりました。そこに続いたのがダノンファンタジー、出遅れ押っ付けた結果行きたがってしまったラウダシオン、馬場が味方しそうなセイウンコウセイと続きました。直線で17年の再来か!?と思った矢先、内から最高の騎乗を見せた福永君とマイル王インディチャンプ、外から突如の乗り替わりにも意地を見せた浜中君とレシステンシア、その内にダノンスマッシュと川田君という構図のままゴールとなり日本で初のG1を制覇しスプリント界の王へとなりました。
2着のレシステンシアに関しては1200mに大きな感触を掴めたでしょうし、1400mでもG1があればよいのになぁと思ってしまいました。3着のインディチャンプはスプリントでも意地を見せてくれましたね。決してスプリントがベストではないと思いますが、今回のレースには手応えがあったと思います。ルメール不在の珍しいG1となりましたがしっかりと日本人騎手達が締めてくれ、非常に良いレースになったと思います。
今週は豪華メンバーが揃う大阪杯が行われます。サリオス騎乗予定の松山君は残念な騎乗停止になったことからも、ここで意地を見せてお休みに入りたいと思っていると思います。更に香港でのデアリングダクト騎乗後に隔離期間があれば合計1か月は乗れないことになるため、リーディング争いとしても今週は力が入るのではないでしょうか。しかし、それを簡単にさせてくれないのが、3冠馬コントレイルではないでしょうか。調教VTRを見ても恐ろしいほどの走りをしていますし、ディープインパクトやアーモンドアイで受けた衝撃と同じような圧倒的な走りを期待してしまっています。
3階級制覇を狙いグランアレグリアも参戦してきます。距離や折り合いの心配はあるでしょうが、タメにタメた時の爆発力は凄まじいので、非常に楽しみにしています。その他にまだ負けなしで順調にいけば今年のエリザベス女王杯勝者になるであろうレイパパレに、ここで復活してほしいワグネリアンと、多くのスターが集まるまさにオールスター戦。吉本興業とのコラボでも注目が集まるだけに、M1ではなくG1ですがマジカルでラブリーな馬や見取り図リリーさんからもリリーバレー出身のペルシアンナイトの活躍に期待しつつ楽しみましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。