元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
良さソダシ~勝ちソダシ~
2021/4/14(水)
皆様、こんにちは!今週はなんといっても松山英樹選手のマスターズ初優勝が話題に上がりますね。アジア勢で初の快挙となり、挑戦し続ける意味を教えてくれた素晴らしい勝利でした。その優勝の中で、本人が語った「今まで自分のフィーリングだけを信じてやってきたが、今年からコーチをつけて意見を取り入れてきたことがいい方向に出た」というのはアスリートとしては、非常に意味のある言葉でした。それだけ難しいことですからね。しかし、それをプラスに変えることができたのは彼の努力と才能だったと思います。チームメイトにもスポットが当たったのは非常に嬉しいですね。
どのアスリートも基本は一人で成り立つわけではありません。競馬もそうです。馬に関しては産まれたところから育成があり、厩舎のメンバーが毎日命を懸けて朝から仕上げ、そして騎手が乗る。騎手にもサポートする人がいて、初めてレースに出られるんです。その事を忘れてはいけません。松山選手はしっかりと理解していたからこそ掴んだ優勝だったと思います。ギア担当の方にもお電話して優勝報告をされたと書いてありましたし、キャディの方の一礼は日本人らしさを誇れるものだったと思います。素晴らしい勝利に心が温かくなりました。
そんな快挙前の日曜日に、競馬界でも白馬が快挙達成しました。無敗のソダシが桜花賞を制しました。鞍上の吉田隼人君にとっては初のクラシック制覇となり、彼の技術をずっと推していた我が家の次男は大喜びしていました(笑)。そんな次男が「隼人君は初めてだと思うけど、ソダシ仕様に白の腹帯を用意して着けたのは実力を信頼している証」と言っていたその通り、白馬ですがなぜか色物のように見られがちなソダシでしたが、実力は本物でした。騎手コメントでもあった「実力を見せつけたかった」にはこういったところもあったのだと思います。
当日の阪神競馬場は非常にタイムが出る馬場となっていたため、レース直前は速い馬場に対応できるのか?と疑問に思っていましたが、見事までのレコードタイムでの勝利となりました。膝から下が長いこともあり反動が少し心配になりますが、パワーにタイムまで対応できるとなると、恐れ入りましたと言うしかありません。そして、鞍上の素晴らしさが光ったレースでもありました。レースセンスが素晴らしいソダシを見事なポジションに入れ、荒ぶる女王をしっかりとなだめ、スムーズにエスコートした技術はまさにトップレベルでした。
2着にはサトノレイナスが入りましたが、スタートで少し出遅れたこともですが、枠に距離にと彼女にとって今回は仕方ないところが多かったと思います。あえて言うならば、3~4角に向けて外に1頭いたため内を選択しましたが、あそこで外の選択を強気にしてもらいたかったなと思いました。3着にはソダシをしっかりマークした先週穴候補で上げたファインルージュが入り、皆様のお役に立てたなら良かったと思います。
今週は牡馬クラシックの皐月賞が行われます。混戦模様の中でも、一際この馬に勝ってほしいと思われているのが横山武君とのコンビ、エフフォーリアではないでしょうか?倒してきた相手が本物ですし、走りも本物。ここで一気に勝ち切り、ダービーへと駒を進めたいと思っていることでしょう。そこに待ったをかけたいのが川田君とのコンビ、ダノンザキッドになります。前走は負けたとはいえ収穫のある内容だっただけに、絶好調の鞍上に導かれホープフルSに続くG1勝利もあると思います。
池添兄弟のヴィクティファルスも侮れませんし、タイトルホルダーもスムーズなら馬場状態次第では面白い一頭です。ラーゴムもステラヴェローチェもアドマイヤハダルもいて観るには楽しいですが、予想は非常に難しい一戦になると思います。モヤモヤとした今の環境を吹き飛ばす、圧倒的な強さでのクラシック一冠目に期待しましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。