元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
圧倒的
2021/6/29(火)
皆様、こんにちは!多くの場所で職域接種の申し込みがあり、少しずつではありますがコロナワクチンを打った方が増えてきたようです。しかし、まだまだ怖いのは副作用ですね。何年かしてから問題が起こるかもしれないと思うと怖さがあるのは確かです。かかる恐怖も打ってからの副作用の恐怖もあり、未知というものは本当に人に怖さを与えます。
大きくなるにつれて知らないことがなくなり、知らないことは必要がないことと割り切ってきましたが、この年齢になってから未知のものに恐怖を覚えるとは思ってもいませんでしたから。私も2回目の接種が残っていますし、まだまだ油断ならないコロナに立ち向かいましょう。
それでは競馬の話をしましょう。未知ではなく、そこにあったのは女王への道でした。阪神競馬場で行われたグランプリ宝塚記念では、女王の座をしっかりと守ったクロノジェネシスと北村友一君のケガにより新コンビ(ルメール)ペアが圧巻の走りを見せ勝利しました。一言で格が違うといったところだったと思います。残り200mではルメールも楽勝と思いながら追っていたことでしょう。
レースはスタート後、レイパパレが少しよろける形でユニコーンライオンにぶつかりました。しかし、ユニコーンライオンと坂井君も屈せずハナへと主張し取り切り、その後ろにレイパパレがつける展開となりました。川田君としては距離と、前回記述した不安もあったことから、ユニコーンライオンを楽に行かせることを選択しました。そのおかげで、ギリギリを保ちながらも折り合いをつけて見せました。その後ろのベストなポジションにキセキ、クロノジェネシスが入りました。
本来であればキセキのポジションにカレンブーケドールがいると思っていたのですが、枠の並びなどから1列後ろのポジションへとなってしまいました。その形が変わることなく淡々と流れ、後方組は厳しい展開になりました。前走の勝利のように後ろに脚を使わせるタイミングでペースアップした坂井君とユニコーンライオン。併せるようにレイパパレが上がってきました。4角でズブさを見せたキセキを内から一気にクロノジェネシスが出てくると、一旦レイパパレが先頭に出るも一気に抜き去り、格の違いを見せる勝利となりました。
ユニコーンライオンがレイパパレを再度抜き去り2着へ。これは価値のあるレースになったと思います。自分の型にハマった時の粘りは非常に素晴らしいですね。3着には無敗だったレイパパレ。川田君も前走からの不安や折り合いなどを含めて満点の騎乗だったにせよ、ユニコーンライオンに差し返され引き離せなかったところからも2000mが限界なのだと感じたと思います。負けたとはいえ、より一層レイパパレとしては強さが増すレースにもなりました。
レース後にはクロノジェネシスの凱旋門賞挑戦が話題に上がりました。バゴ産駒で道悪も大丈夫で、なおかつ展開次第でレースも上手いとなれば希望が大きく持てます。もちろん、海外のラブは強敵になるでしょうが、日本の女帝が悲願を達成してくれるのを強く願います。海外遠征という未知なる挑戦をドバイで経験したことで、慣れが生まれて余裕も出てくるでしょうから楽しみです。個人的には長期滞在しながら調整してもらえたらなと思います。
中央競馬前半期が終了し、今週からは後半戦のスタートです。開催も福島・小倉・函館へと替わります。そんな福島ではラジオNIKKEI賞、小倉ではCBC賞が行われます。中京ではなく小倉で行われるCBC賞はとりわけ楽しみですね。開幕週の直線の短い小倉では、前にポジションが取れる馬が有利に働きますから要チェックです。その中でも九州産のヨカヨカが故郷九州で初重賞をゲットできるかに注目は集まります。ハンデの51キロも非常に魅力的です。
スプリント路線へと矛先を変えたピクシーナイトもここで結果が出なければ、というところではあります。その他にも小倉を知り尽くした川田君とのコンビタイセイビジョンや重賞戦線で活躍しているアウィルアウェイなどもいます。人気所を自分なりに固定させての大穴狙いで、開幕週に重きを置いた予想を立てると面白いと思います!ゲット万馬券!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。