元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
勝負事
2021/7/19(月)
皆様、こんにちは!とうとう東京2020オリンピックがコロナ禍の中、開催になります。これには色々な声があると思います。しかし、長い時間をかけ準備し、思った形での開催とは違うにせよ、関わってきた人達にとってはやれることの意味は大きい気がします。この状況の中でも勇気を与えるような意味のある大会になることを願っています。
そして、大相撲では横綱白鵬が6場所ぶりの復帰をいきなり全勝優勝で飾りました。手術した右膝はボロボロの状態で、それでも横綱として貫禄を示してくれました。千秋楽の照ノ富士との全勝対決では、肘や張り手と横綱らしくない戦いもあったかもしれません。解説の方も苦言を呈していました。しかし、私個人としては勝ち続けなければいけない、1番強くてはならないために今できる自分のベストを勝負にぶつけているように見えました。歴代1位の優勝回数を更新できているのは、その気持ちの面があるからだと思います。
品格も大事ですが、あくまで勝負事をやっているんです。商売道具の体を壊しても尚、生活や守るものを持ち、横綱として戦い続け、結果を出したことを素直に評価してほしいなと思います。逆に、何が何でも横綱を倒してやるという気持ちが見えたのは15番の中で照ノ富士だけだった気がします。品格のあまり勝負に甘くなっている力士しか出てきていない現状を、日本相撲協会は苦言する前に見直してもらいたいと思います。素晴らしい優勝でした。
それでは競馬の話をしましょう。日曜に函館で行われた函館記念では、次こそは!というチャンスを活かした横山和君とトーセンスーリヤのコンビが見事な勝利を挙げました。レッドジェニアルとマイネルファンロンがハナ争いをし、マイネルが引っかかる中、落ち着いてその後ろのポジションを取ると、あとは流れのままに追い出して押し切りました。着差も思っていた以上につき、完璧なレースだったのではないでしょうか。サマーシリーズに期待の持てる勝ち方だったと思います。
1番人気に推奨されたカフェファラオは内枠がどうか?と心配していましたが、やはり窮屈な走りになってしまいましたね。スタート後、ワールドウインズと豊ちゃんがスっと内へ手綱を出すのを見て、すぐにルメールも外へと誘導しようとしました。しかし、大外のレッドジェニアルが逃げる展開になったため、1コーナーの入りから内ラチ沿いの選択肢しかなくなりました。
ダートの時もそうですが、極端に狭い所を嫌がる素振りをしていたため、これは厳しいなと見ていましたが案の定の走りになってしまいました。重賞や一線級で活躍を望むのであれば、やはりダートが良さそうでしたね。しかし、選択肢が狭い日本のダート界にとっては良い試みで、あとは芝の走り方からダートの走り方へ戻す際にスムーズに馬が適応してくれることを願います。
小倉で行われた中京記念ではアンドラステと川田君がやってくれました。重賞級と言われていた才能がとうとう、ここで初重賞を挙げました。思い起こせば若い頃にコーナーを曲がり切れない!?というようなレースで圧勝してからここまで長かったですね。しかし、骨折などがありつつ陣営はじっくりと立て直し、マイルから2000mを一度使ったことで、今回の1800mではレースがしやすくなっていたと思います。
そこに小倉では地の利がある川田君の経験と技術が加わったことで、完璧以上のレースになったと思います。あのレースをされれば他の馬は届きませんからね。素晴らしい技術と判断だったと思います。勝負事として勝利と教育のどちらも手に入れた勝利は100点以上の価値がありました。
オリンピック競馬を夢見つつ、今週からは新潟・函館の2場開催になります。特に新潟は関東騎手と関西騎手が集まりやすくなるため、騎手買いしているファンの皆様にとっては難しい期間になると思います。開幕週のメインには名物アイビスサマーダッシュが行われます。注目は何と言ってもピンク帽になるでしょうね。毎年毎年、外ラチ沿いの馬が好走することからも、どの騎手も外枠がほしいのではないでしょうか。
そんな中でも中心は鮫島駿君とライオンボスになると思います。あの悔しさから戻ってきたコンビがここで結果を出せるのか、非常に楽しみです。そこにモントライゼがどのような走りをするのか、ロードエースやタマモメイトウがスペシャリストの走りをするのか等、なかなか難しいレースになります。千直マイスターであった西田調教師がいなくなったことで選択肢がひとつ減った同レース。快速王はどの馬か!オリンピックに負けない熱い戦いを期待しましょう。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。