元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
衝撃・圧倒劇・感激の武史劇場
2021/11/3(水)
皆様、こんにちは!とうとう11月に突入しましたね。今年も残り2ヶ月と思うと少し寂しい気持ちになってしまいますね。この2年間ほどはコロナの影響から出掛けるとあれば近くのスーパーか病院くらいでしたからね。さて、年末が近づき、我が家では大掃除が始まりました。息子の持っていた古いゲームなどをまとめ捨てようとしたのですが、ブックオフが近くにあるからということで行ってみると、まぁレシートには1円や5円、10円が並ぶも、ゴミとして捨てようと思っていたものにも金額が付くのは嬉しいものでした。なんと、その中に昔のゲームが後に人気が出たものがあり1万円ほどになりました。思いがけないマイナスからのプラスで、非常にラッキーを感じた週でした。
それでは競馬の話をしましょう。先週は東京競馬場にて天皇賞(秋)が行われエフフォーリアと横山武史君のコンビが制しました。3歳牡馬ということで、非常に価値のある勝利になりました。また騎乗した武史君にとっては親子3代での勝利かつ2週連続のG1勝利となりました。思えばエフフォーリアと出会い、皐月賞で初のG1制覇。この時はまだまだ実感が持てなかったと思います。ただ勝ったという衝撃に襲われていたことでしょう。そして、日本ダービーの悔しい敗戦を乗り超え、菊花賞のタイトルホルダーで驚きの圧倒的勝利。そして、エフフォーリアとひとつになってやっと実感があったような気がする涙の勝利でした。「衝撃・圧倒劇に続く感激」の横山武史劇場は素晴らしいものでした。
まずパドックで良く見えたのは3強とペルシアンナイトでした。しかし、正午くらいから降り始めた雨が、予想を悩ませる結果となりましたね。レース前にはエフフォーリア・グランアレグリア・コントレイルの3強で決まると予想していても、馬券を購入される皆様は、これで少し荒れるかもしれないと思ったと思います。しかし、雨の影響はそこまで馬場には出ておらず堅い決着となりました。勝利したエフフォーリアは更に距離を延ばしても走れそうなタイプだけに、来年は王者としてどういうレース選びをするのか非常に楽しみになりました。
2着には無敗の3冠達成から2度敗戦し、残り2戦となっていたコントレイルが入りました。こちらも十分に力を発揮したものの、今回ばかりは勝った相手を褒めるしかないと思います。いつもはポーカーフェイスを貫いている福永君がゴール後に悔しい顔をしていたのには、懸けていた思いの大きさを垣間見ました。
3着に私が本命にしていたグランアレグリアが入りました。パドックの気配にやはりマイルがベストなのかなと思わされましたが、返し馬では落ち着いていたため、あとは折り合いだけだと感じていました。しかし、スタートしてから1コーナーで前に馬を置くことができず、少し掛かりながら直線を迎えました。普通の馬ならば下がっていく乗り方でも粘ったところを見ると、歴代の名馬と同様かそれ以上の才能を感じました。それぞれが本当に素晴らしいレースを演じてくれており、今後のローテーションでは交わることはないと思われる3頭の戦いは心から感動しました。
最強決定戦の後はG1レースが1週お休み。開催は東京、阪神、福島となります。その中で東京と阪神では土日共に重賞競走が実施されます。東京では京王杯2歳Sとアルゼンチン共和国杯、阪神ではファンタジーSにみやこSが行われます。最も注目しているのはアルゼンチン共和国杯になります。1番人気にはオーソリティが選ばれるでしょうね。しかし、私の予想としてはここで荒れてくるのではないかと思っています。
とりわけハンデ51キロのコトブキテティスを楽しみにしています。その他にもアンティシペイトやアイアンバローズなど面白い伏兵が揃っています。凱旋門賞に登録していたマイネルウィルトスにとっては負けられない戦いになるとも思いますが、是非とも大穴狙いでアルゼンチン共和国杯を制してください。毎年のことながらアルゼンチンだけに水色と白、黄色帽にも注目です。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。