元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
I T O
2021/11/17(水)
皆様、こんにちは!昨日はアウェーで日本代表がオマーンを倒しW杯最終予選で2位へと順位を上げました。ゴールしたのは、その前の戦いでも決めていた伊東選手でした。そして、何よりも注目を集めていた三苫選手の刺激は素晴らしいものがあったと思います。伊東選手に関してもアタッカーとして見ていたところからフィニッシャーに変貌していることは代表チームにとっても誇らしく、伊東からITOへと本格的に変化してきた気がします。ITOといえば映画糸での共演がきっかけとなり俳優の菅田将暉さんと小松奈菜さんが結婚を発表しましたね。若い二人でよく存じ上げていなかったのですが、糸だけにお二人の仕合せを願っております。
それでは競馬の話をしましょう。競馬界でも糸はITOでもアカイイトが勝利を挙げました。これで秋のG1はピクシーナ「イト」・タ「イト」ルホルダー・アカ「イト」リノムスメに続くイトの勝利となりました。全世界でイトが活躍していることからも、今回もサイン馬券だったのかとなってしまいましたね。エリザベス女王杯当日、グリーンチャンネルを見ていると午前の4レース終了時、司会の小堺君がキズナ産駒が好調だという話をしていました。
すぐにG1出走馬のキズナ産駒を確認すると3頭が該当しました。馬場が種牡馬に向く時があるのですが、以前もヴィクトワールピサ産駒が中山で勝っているのを見てメインで本命にして勝利したことがあったため、今回も注目だなと思っていました。レースはスタート後シャムロックヒルがまずはハナを主張していきました。注目を集めていたレイパパレも最内枠ということもあり、少し出す形で1コーナーを迎えました。
隊列的にはシャムロックヒルにロザムールが続き、ウインマリリンにレイパパレという形となりました。しかし、すでに名手ルメールでも引っ掛かっている様子を見ると、レイパパレは距離が保たないなと感じました。それでも4角では垂れてくる相手を交わし、早々と先頭に立つ形に。そのタイミングを待っていましたと、外からは阪神2200m内回りの特性を考え、アカイ2頭が早めに仕掛けました。京都であればここで一息、内へという選択肢もありますが、阪神内回りでは長い脚を使いながら一気に突き放すのが理想の展開になります。それを上手く利用した幸君とアカイイトが驚きの勝利を挙げました。しかし、ここの相手に引き離した着差は本物。今後が非常に楽しみになりました。
幸君といえば数年前に大怪我を負い、一時期は復活も難しいかもしれないという状態でした。年齢的にも引退が頭をよぎったと思います。それでもリスクを覚悟で手術を選択し、懸命なリハビリを乗り越え、戻ってきた鉄人です。未だにあの乗り鞍をこなすのは簡単なことではありません。依頼をくれる方へ感謝を込めて乗るスタイル、勝ち目がなくても少しでも前へと乗ってくれる彼を慕う関係者は多いと思います。そんな彼だからこそ、久しぶりのG1勝利という赤い糸を手繰り寄せたのでしょう。
そして、土曜の京都ジャンプSも感動しましたね。ケンホファヴァルトで勝利したのは先日、障害最多勝利騎手となった熊ちゃんでした。ゴールする際のガッツポーズは本当に震えました。53歳でもなお挑み続ける気持ちは素晴らしく、自分は障害競走が好きだからと乗り続ける体力。少しでも障害競走の素晴らしさを伝え有名にしたい、好きな障害で勝ちたいというベテランの意地と技術が詰め込まれた感動のレースでした。
残念ながらITOの出走こそ見つけられませんが、今週は非常に豪華なメンバーがそろったマイルCSが阪神競馬場で行われます。何といっても、歴史的名牝グランアレグリアの勝利を信じています。そこに待ったをかけたいのが3歳馬シュネルマイスターや古豪インディチャンプ、サリオスやグレナディアガーズにダノンザキッドと楽しみなライバルの活躍にも注目しています。
ただ、何度も言いますがグランアレグリアは別次元の馬と思っています。枠や展開も関係するでしょうが、それでも圧勝を期待してしまいます。来年2月で勇退となる藤沢和厩舎とダービーや数多くの勝利の糸をたぐりよせたルメールにとっては負けてはいけないレースだと思っています。ITOはもう「いーと」言わずに、競馬場で美味しいごはんをEATしながら応援しましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。