![松田幸春](/img/column/judge/tit_judge.jpg?=v1)
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
圧巻の帝王
2021/12/7(火)
皆様、こんにちは!先週は滋賀県にあるメタセコイア並木を見にいってきました。北部にあるのですが、メタセコイアが道の左右に配置され2.6kmほど続く並木道で、冬の気候からオレンジ色に変わった綺麗な葉の下を通るのは非常に素晴らしかったです。なかなか、同じ滋賀県にいながらも行くことができなかったので、本当に感動しましたよ。途中には大きな虹が何度も何度も見ることができ、神々しい景色に自然の力を感じられた週となりました。メタセコイアにマタ(セ)戻ってコイヤ!と言われた気持ちになりました(笑)。
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それでは競馬界の師走の始まりを感じさせてくれたチャンピオンズカップの話をしましょう。出馬したのは白馬ソダシや前回覇者チュウワウィザードなど豪華メンバーになりましたが、勝利したのは前走の悔しさを倍返しにしたテーオーケインズ改め帝王チャンピオンケインズでした。前走のJBCでは金沢が合わなかったこともありましたが、スタートで後手を踏み、松山君も焦ってしまったことによりリズムを崩し敗れてしまいました。そんな前回の敗因を陣営が立ち直してきたため、少しごたついたスタートでしたが、上手く出すことができました。
最内枠を当てたソダシが砂を被るよりもマイペースで運べる逃げを選び、逆に逃げないと良さが出せないカジノフォンテンは控える形となりました。2番手にインティ、外からアナザートゥルースが主張しました。私が注目していたカフェファラオは「外で自分のペースで走れているな!」と同時に、この時点で「あれ?以前より前進気勢が少ない」とも感じてしまいました。そして迎えた4コーナー。ペースが少し遅かったことからも前が残るか?と思って見ていると、抜群の手応えでテーオーケインズが上がって行き、みるみると後続を離して6馬身差をつけました。
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騎乗した松山君にとってはこんな楽勝でのG1勝利は初めてだったからか、あっけにとられたような感じに見えました。2着には後方から追い込むも届かなかったチュウワウィザードが入り、3着には何と繰り上げ出走となったアナザートゥルースが入りました。勝利したテーオーケインズは、自分のリズムを守るだけで異常なまでの強さを見せてくれたのはビックリしました。この走りができるのであれば、ドバイで見てみたいなと思ったのは私だけではないでしょう。
注目を集めたソダシですが、気持ちの面で課題を抱えてしまった気がします。前走の敗戦が堪えたのか、それとも少し気持ちの面で走ることに対して嫌気がさしたのか、今回も本気で走らず終わってしまいました。気持ちの面での問題は馬券を購入する側にとっても断捨離が今後は非常に難しくなります。競馬界を盛り上げるアイドルホースだけにここで終わってほしくないですね。どうにかいい休養を経て、もう一度走りたいと馬が思ってくれるように願っています。
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今週はまだまだ走りたい気持ちでいっぱいの2歳達の女王決定戦阪神ジュベナイルFが阪神競馬場で行われます。注目を集めるのは武幸四郎厩舎・武豊騎手のウォーターナビレラになるでしょうね。前走は1400mも圧巻のスピードで勝利しましたし、兄弟G1制覇を見てみたいです。そこに待ったをかけたいと豊ちゃんの勝利目前で阻止する男ミルコとサークルオブライフのコンビも虎視眈々と頂点を狙います。心配としては前走のレースぶりからも、まだ体のデキ上がっていない2歳馬の見えない負担というところだと思います。
その他では今回が一番狙い時のステルナティーアとルメールのコンビは叩いた効果が出てくるでしょう。まだまだ小さい馬だけに、馬力がいるような馬場は合わないと思いますのでそのあたりも確認しながら注目してください。帝王の次は2歳女王!あっと驚く走りをする意外性にも期待して、勝利馬券を今週も掴み獲りましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。