元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
勝者を見極めるには陣営の思惑が左右する!?
2022/1/12(水)
皆様、こんにちは!早くも新年を迎え、半月が経とうとしています。この間までお正月と思っていたのに、もうこんなに経ったかと時の早さに驚かされています。そして、我が家では雨や雪でもできるようにと息子がテレビに繋ぐゴルフゲームを買ってくれました。本当にヘッドスピードが出たり、コースを回れたりと楽しいです。最近ゴルフをしていない私は1スイングで疲れが溜まってしまいましたどね(笑)。それでも歩かずに勝負できるのは非常に楽しいです。どんどん進化していく世界で楽しみが増えることは本当に良かったなと感じる日々が多いです。
それでは3日間開催を振り返りましょう。特に注目していたのは名馬を生み出すシンザン記念でした。そこで人気を集めたのはグランアレグリア2世と噂されたラスール。ルメールの休み明け1週目は30戦以上勝ち星がないことからも、勝利は難しいのかなと感じながらパドックを見ていました。雄大かつ柔らかさがあり、少し父に似た馬体に惹かれました。しかし、ここではなくもう少し先になるのかなと思いながらレースを迎えました。
するとスタートからまさかの後手を踏む形となり、モマれると全く持って良さを出すことが出来ずにレースを終了。敗戦から学びが多いレースとはなりましたが、ここでも圧巻の勝利を期待していた皆様にとっては期待外れになってしまいました。そのラスールを横目に、未勝利馬ながら特別戦を勝利していたマテンロウオリオンは前走とは一変。スタートを決めると、典ちゃんは迷いなくポジションを取りました。
人間の固定概念ではなく、そのレースそのレースに馬の気持ちが変化することを何よりも考え騎乗する彼ですから、これは馬に活気があるのか?と思って道中を見ていました。その外にはソリタリオとクリスチャンが併せるような形で上がってきました。最後は典ちゃんとマテンロウオリオンがソリタリオを凌ぎ切り、見事にシンザン記念を制しました。前走の目を見張る末脚の他にも競馬の種類が増やせたことは非常に大きく、今後のローテーションも楽しみになりました。
3着に敗れたレッドベルアームですが、こちらは川田君がよく競馬を教えたなという印象を受けました。決してこのレースが最大目標ではない器ですし、勝ち切ることが一番ですが、それよりも行きたがる馬を我慢させ、しっかりとレースを教えたことは大きなポイントになってくると思います。次走ではこの馬からは目が離せないなと思わされるレースでした。名馬を誕生させるシンザン記念。今年の勝ち馬マテンロウオリオンがどこまでいけるのか?!今後にも期待をしましょう。
週中には雪が降っていることからも馬場が心配されますが、今週末には3つの重賞が予定されています。その中でもG2日経新春杯には有馬記念で4着だったステラヴェローチェが出走してきます。ここでは力が一枚違う上に馬場が緩くなれば圧勝もありそうですが、心配はローテーションにあります。勿論、勝ち切るシーンがあるかもしれませんが、内容いかんでは春を諦めることにもなりかねません。大雨の神戸新聞杯、菊花賞、有馬記念ときていますから、逆に掲示板が一杯ということもあり得ます。陣営がどのレースに重きを置いて出走を決めたのかを見極める必要がありそうです。
土曜の愛知杯では今年も軽量馬から目が離せません。なおかつ傾向的に内枠の馬がいい内容で勝ち上がっていますので、枠順とハンデ、これらが非常に重要になりそう。内枠のポジションが取れる軽量馬に注目したいと思います。4日間でお年玉を落とし玉に変えてしまった方は、ここで一発逆転のお年玉倍返しを狙っていきましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。