元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
壊されたプランも貫いたスタンバイ
2022/3/9(水)
皆様、こんにちは!最近は花粉と黄砂に悩まされています。特に黄砂でクシャミが酷く、車も知らない間に砂だらけになり、軽く降る雨でドット柄になったりと影響が出ています。ともあれ、滋賀県にとうとうコストコができるというニュースを見ました。八日市という栗東からだと少し距離がある場所にできるようですが、非常に楽しみです。迷子にならないようにしないとですね(笑)。コストコデビューまではもう少し待っておきます。
私のコストコデビューより一足先に、競馬界では新人騎手たちがデビューしました。毎回思うのは最近の新人の子たちは皆、達者に乗るなという印象を受けます。それも競馬学校の質が上がっているのが要因だろうなと思わされます。特にデビュー前から息子が模擬レースなどを見ていて角田大河君は鞍のハマりや乗り方いいよと聞いていたのですが、まさにその通りの結果を残してくれました。勿論デビューした騎手全てが馬乗り達者でもレースの組み立てやコース取りと甘いところだらけですが、それでも楽しみになりました。ただ騎手になることが目標ではないので、いきなり集まる視線や応援に鼻を伸ばさないようにしてもらえたらなと思います。
それでは先週の競馬を振り返りましょう。特に注目を集めたのは弥生賞ディープインパクト記念だったと思います。勝利したのはアスクビクターモアと田辺君のコンビでした。このレースの前から「今日は乗り方が中山にハマっているな」という印象を持っていたのですが、まさにその通りの結果となりました。中山の鬼・田辺!という異名がありますが、本当に小細工が上手いというか、足りないところを誤魔化して補うことができます。今回もスムーズに好位を取ると、目に見えないレースコントロールを実行し、見事勝利へと導きました。本番でどこまでできるかも楽しみですが、G1でも田辺君にはこのような騎乗を見せてもらいたいなと思わされたレースでした。
2着には無敗だったドウデュースが入りました。今回はマイルから2000mということで多少行きたがる面は見えましたが、豊ちゃんが本番に向け、しっかりと教えながら乗った印象を受けていました。しかし、3コーナーでは抑えが効かなくなったロジハービンがマクり上げると、内へモタれました。このタイミングで出して行けば被害はなかったですが、2000mの競馬を教えているところで出すことを選択すれば本番での仕掛け所で馬が行きたがるようになってしまいます。だからこそ控えることを選択したのですが、さらにモタれるとまでは思わなかったはず。まさにドウデュースからするとレースをぶち壊された内容でしたね。
制裁対象にはなりませんでしたがレースをみんなで作るという意味で、御せず邪魔をするということは技術がなかったということの証明であり、してはいけないことです。前回騎乗した戸崎君も難しかったところを活かしきることで邪魔をせずにレースを成立させましたからね。レース後の豊ちゃんのコメントも共感しました。しかし、これで皐月賞は楽しみになりました。キラーアビリティにイクイノックスなど強敵が揃うことになるでしょうが、それでもまだ奥がある馬に見えました。
今週からは中山、阪神、中京の開催となります。重賞競走は中山牝馬S、フィリーズレビュー、金鯱賞と楽しみが多いレースが盛りだくさんです。特に注目しているのは金鯱賞に出走するレイパパレになります。香港では負けてしまいましたが、立て直してどうなるのか楽しみにしています。さらに、連勝街道にいるジャックドールがどのようなレースをして、どこまで通用するのかにも注目しています。その他にもサンレイポケットは得意の左回りで本領発揮でしょうし、忘れた頃のシャドウディーヴァも侮れません。今週は素晴らしいレースが繰り広げられることを楽しみに、新人騎手の2週目にも注目していきましょう!黄砂がひどいだけに黄色帽も一考です。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。