元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
戦略よりも大事な馬の気持ち
2022/3/16(水)
皆様、こんにちは!3月15日はレジェンド武豊ちゃんの誕生日だったというニュースと一緒に義父が管理したキーストンの誕生日という記事も目にしました。我が家にも保管されていないような口取りに向かう懐かしい写真を見て「あー〇〇さんだ!どこで保管されているのだろう。欲しいな」と思いながら見ていました。是非、懐かしい写真をお持ちの方がいらっしゃいましたら、写真をくださいね(笑)。
そして、ルメールが新たにアパレルブランド「CL by C.ルメール」を立ち上げました。勝負服をベースにされた服が多く、全てが日本製でのアパレルということで、少しお高くはなっているようですが、競馬を広げるという中でも違った視点は素晴らしいなと思っています。どう転ぶかは分かりませんが、楽しみが増えたニュースでした。
それでは先週の競馬を振り返りましょう。なんと言っても注目を集めたのは中京競馬場で行われた金鯱賞だったと思います。G1馬レイパパレなど豪華なメンバーが揃う中、ジャックドールがいつも通りの速い逃げでレコード勝利を挙げました。思わず、この馬は強いなぁーと声が漏れてしまうほどでした。幾分、速いペースでの逃げから差し馬ほどのラストのラップは脅威。モーリス産駒らしく素晴らしい脚をずっと小出しにできるようなイメージです。こんな走りをされると相手はたまったもんではありません。
昔の競馬では強い馬は逃げというイメージでしたが、久しぶりにこのタイプが出てきたなという印象です。陣営としては控えての競馬も先を考えた時に試したかったと思いますが「馬自身の気持ちを無理に変えることはない、抑えることはない」という判断だったと思います。これは鞍上の選択を褒めたいですね。なぜなら、これほどのラップを刻んで勝ち切ることができる馬はいませんし、馬の気持ちを優先させたことが戦略云々ではなく大事だからです。
藤岡佑君は極端な競馬をするイメージ、逃げると決めた時はやりきってくれる安心感もあります。次の大阪杯では最強エフフォーリアとの対戦になりますが、ここでもやり切ってくれることを願っています。2着にはレイパパレが入りました。走りとしては問題なかったのですが、少し?がついたレースでもありました。以前ほどの前進気勢が見えなかった点です。折り合いが付きやすくなったのは良いのですが、あの前進気勢こそがセールスポイントなので、大阪杯でどうなるかを注目したいと思います。
今週は変則3日間開催になりますのでご注意くださいね!土曜は阪神・中京(ファルコンS)、日曜は阪神(阪神大賞典)・中山(スプリングS)、月曜は中京・中山(フラワーC)となります。中でも注目は阪神大賞典のディープボンドではないでしょうか。フランス遠征を終えて馬が一段階上に上がったように見えますし、ここから中長距離で存在感を出してくれるのではと思っています。ここを楽に勝てるようであれば天皇賞(春)は、早々に◎をつけて良いでしょうね。
ここにジリジリと力をつけてきたアイアンバローズがどこまで対抗できるか、はたまた新星マカオンドールの逆襲はあるのかなど見所がたくさんあります。今週からルメールがコロナより復帰ということもありますし、早速自分のブランドの服を着て勝利騎手インタビューで宣伝できるかも楽しみにしています。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。