元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
金子オーナーM4
2022/4/7(木)
皆様、こんにちは!桜が満開を迎えましたね。栗東ではトレセンに通じる坂道からトレセンの周りまで全てが桜一色になるほど綺麗なんですよ。そうした春の訪れを桜が教えてくれ、あぁまた今年もこの桜を見ることができたと思えることが幸せです。今日は松本騎手と同級生の孫が中古の車を買ったと見せに来てくれました。横に乗せてもらってトレセン周りを回ってきたのですが、綺麗な桜を楽しむ余裕はなく、少し怖いドライブでした(笑)。しかし、孫が嬉しそうに来てくれたのは本当に嬉しかったですし、いい時間でした。
それでは桜満開となった阪神競馬場で行われた大阪杯を振り返りましょう。勝利したのは、我が家の次男イチオシの吉田隼人君とポタジェのコンビでした。安定感のある走りでいい所にはいるものの、なぜか勝つにはワンパンチ足りない印象を持っていた馬でしたが、友道厩舎の調教やレース選択がここで実を結んだ勝利だったなと思います。何より、隼人君にとっては兄(吉田豊君)がドバイで勝利していたことも刺激になっていたと思います。
スタートから素晴らしいポジションを取ると、荒れた特殊な馬場を味方にしました。4角に入る前にはエフフォーリアの手応えがないこと、ジャックドールも脚が止まっていることを見ながら早々と馬場のことを考え、川田君とレイパパレが勝つ競馬をしました。それを見逃さなかったのが同期の隼人君とポタジェのコンビでした。前をいくレイパパレを必死に追い、追いつくと最後はゴール前で交わし、見事な勝利を挙げました。
取ったポジション、川田君の勝負っ気を読み解き、動かした度胸、追う技術、どれもが勝つべくして勝ったレースだったと思います。美浦から栗東へ所属は変えずとも挑戦を続けているからこそ得たチャンスを、自分の力でもぎ取ったのは素晴らしいの一言でした。ポタジェの勝利で金子オーナーはJRA・G1完全制覇までM4となりましたし、ここまできたらそれを見届けたいとすら思わされています。
2着にはレイパパレが入りました。もう少しで連覇というところを遮られてしまいましたが、素晴らしいレースだったと思います。そして、レース前に甲子園で近江高校が京都国際高校のアクシデントにより繰り上がりとなり決勝までいったことからも「豊ちゃんの勝負服、ルメールからの繰り上がり」で複勝は楽しみなんじゃないかと笑いながら話していたのですが、そのアリーヴォが豊ちゃんと共に上がってきたときは思わず、近江高校きた!と叫んだほどでした。3着とはいえ小倉だけでなく、G1でこの走りができたことは大きな自信になったのではないでしょうか。近江高校同様、負けたとはいえ得るものが大きかったと思います。
桜満開の下で今週は桜花賞が行われます。例年より少し早く咲いたと感じる桜の下で、3歳クラシックの開幕です。まず注目を集めるのはナミュールではないでしょうか。ただ、スタートに不安があることからも、武史君がどこまで想定して走らせるかがポイントになります。エフフォーリアのショックをここで再度自信に繋げるためには勝つしかありません。対抗に選ばれるのはサークルオブライフになるでしょうね。2歳女王のガス抜きが終わり、今度は控える競馬をするでしょうし、どこまでの走りをするのか楽しみです。
私の注目はライラックと福永君のコンビになります。牝馬の扱いが非常に上手い彼ですし、荒れた馬場でもパワーを活かした走りをしてくれると思っています。その他にプレサージュリフトやウォーターナビレラなどもいますし、今の馬場ならどの馬でも逆転が可能だと思っています。2022年クラシック一番乗りをするのはどの馬か。日曜、阪神競馬場でいよいよ開幕です!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。