元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
楽しメール!
2022/4/14(木)
皆様、こんにちは!つい先日よりテレビを見ているとウマ娘のCMが突然流れてきました。その中でも「ルメールも楽しメール」は我が家でプチブレイクとなっています。今までは孫の「絶滅危惧種やで!」が流行っていたのですが、今では何かある度に「ルメールも楽しメール」と言っています(笑)。
そんなウマ娘の生みの親、藤田晋さん所有のジャングロが土曜中山で行われたニュージーランドTを勝ち、初の重賞制覇をしました。CMが流れるタイミングで、まさにW効果絶大というところではないでしょうか。後ろから迫るマテンロウオリオンが来てからもうひと伸びした走りはさすが豊ちゃんという技術でしたね。2着に敗れたとはいえマテンロウオリオンはこれで脚が計ることができたので、典ちゃんとしても本番に向けて素晴らしいレースとなったと思います。NHKマイルでは典ちゃん本命で間違いない!と今から楽しメール!!
日曜には2022年クラシック初戦の桜花賞が阪神競馬場で行われました。勝利したのは川田君騎乗のスターズオンアースでした。社台RHの芝GI勝利が久しぶりだったことに驚きましたが、これが日本No.1騎手という騎乗にシビれました。前走、前々走と走る力はあるのに遊んでしまうところがありましたが、陣営も馬具を換えて挑んだ本番。川田君は後方に位置を取ると、内の馬場が良いことから勝負に出ました。一か八か勝てるコースを取って、開かなかったら仕方がないと腹を決めての騎乗で、直線に入ると内の馬に当てられてもなお鼓舞し続けた気合とそこを走らせきる技術。この両方を持っている彼だからこその勝利だったと思います。
前日には鐙が脱げてしまい落馬という珍しいミスをすぐに取り返したのはさすがとしか言いようがありません。彼の特徴として踵に重心を置いて乗ることがありますが、まさにそのタイミングで鐙が脱げてしまったので、研究熱心な彼のことですからすぐに対策と乗り方のバランスを調整したのでしょう。2着には兄弟で挑んだクラシック、ウォーターナビレラと豊ちゃんと幸四郎先生のコンビでした。パドックを見た時は少し細いなと思いましたが、ここに向けた究極の仕上げで勝負したというのも結果として理解できました。できれば勝ってウマ娘のCM並に「たけぇー」と言いたかったでしょうが、それはまた次に期待したいです。
この桜花賞で一番強い競馬をしたのはサークルオブライフだったと思います。枠の並び、前走出していったことで普段の走りができなかったことからも、終いの競馬に切り替えました。直線でも外は届かない馬場の中、4着に入ってきたのは馬の能力が素晴らしいという証明になったと思います。1コーナーで鞍上がビビらずもう少しポジションを取れていればと思うところはありますが、オークスに向けてはこの馬がまず1番人気になるのではないでしょうか。
牝馬クラシックの始まりの次は皐月賞が行われます。牡馬クラシックも混戦が予想されますが、まずは何と言ってもドウデュースでしょう。松島オーナーと豊ちゃんのコンビで今週こそ「たけぇー」と叫ぶことができるかもしれません。しかし、そう簡単にいかないのが今年の皐月賞だと思っています。その筆頭はイクイノックスになります。ノーザンファーム得意のぶっつけ本番が今年は上手くいっていませんが、ルメールが2週連続で調教をつけたこともプラスになる気がしています。
能力では一番かな?と感じているダノンベルーガもいます。こちらはダービー向きと思っていますが、川田が出否を判断した最終調教からも自信が伺えます。その他にホープフルS勝ちのキラーアビリティ、馬場次第では逃げ切りに期待したいデシエルトとあげる馬あげる馬にチャンスがあると思っています。それだけの混戦、走る度に勝者が変わる可能性もあるだけに枠と馬場は非常に大事になります。感動とそして、何よりも楽しみましょう!きっと今週も楽しメール!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。