![松田幸春](/img/column/judge/tit_judge.jpg?=v1)
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
勝利の地上絵
2022/4/20(水)
皆様、こんにちは!暖かかったり寒かったりで寒暖差がすごく体調に気をつけないと、と思う近頃ですが社会情勢では円安の動きが大きくなってきています。輸入製品の値段も上がることから、消費者としては金額が心配になります。さて、長男がクラウンプライドと共にアメリカに渡り、時間がかなり経ちました。円安問題は息子にとっても大きな問題だなと心配しています。カードで買い物をしていて、あとで思っている金額より高い!とならなければいいのですが(笑)。
写真を見ている限り上原先生の息子さんも到着したようで、一人ぼっちで悲しんでいた彼にとっては心強い援軍がきたなと少し安心しました。ケンタッキーダービーの馬券発売も決定したとのことですし、私は栗東でケンタッキーフライドチキンを食べながら応援したいなと思います。もう少し若ければ、そしてコロナが無ければアメリカまで観に行きたかったんですけどね。
![class=](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/judge/202204/220420_matsuda.jpg?1650423596)
それでは日本の競馬の話をしましょう。皐月賞が中山競馬場で行われ、ジオグリフと福永君のコンビが勝利を挙げました。彼にとって会心のレースになったのではないでしょうか。リアルスティールの皐月賞もかなり上手く乗ったなという印象を持っていましたが、あの時は怪物ドゥラメンテに阻まれました。今回は更に完璧という他ない騎乗だったと思います。血統を見るとマイルがベストなのかなとレース前は考えていました。今でもそれは変わらないのですが、1800mの札幌2歳Sで見せた走りを再現するかのような素晴らしい走りだったなと改めて見直しても思います。
少し荒れた馬場も味方をしてくれましたが、スタートから1コーナーでのポジションの取り方、外からイクイノックスが早めに動いたことで、狙いを定めることができたのも大きな勝因となりました。4コーナーで早めに併せにいって馬の走る気持ちを持続させ、まるで調教で狙ってやっているかのように寸前で一気に抜き去り勝利したのは策士・福永祐一の真骨頂だったなと思います。まさに馬名の由来からも勝利の地上絵が見事に描かれた瞬間でした。2着の同厩舎イクイノックスは前走も圧巻の走りでしたし、負けて強しの敗戦だったと思います。次の日本ダービーではこちらが主役になってくるのではないでしょうか。
3着にはドウデュースが入りました。逃げ馬が多かったことからも、少し速くなる展開を予想していただけに、今回はレースが向かなかったという印象を受けました。それでも圏内に入ってくるだけあって、懇意のオーナーとダービー制覇に向けて、豊ちゃんとしては収穫のあった敗戦になったかもしれません。これぞクラシックと呼べる最高のレースでした。もう一度、皐月賞を同じメンバーですれば違う結果になるだろうという混戦でしたが、それぞれの思惑と挑戦がしっかりと垣間見れました。
![class=](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/judge/202204/220420_matsuda02.jpg?1650423596)
今週はG1がお休みですが、皆様もオークス・安田記念に向けて休む暇はありませんよ!今週は前哨戦の福島牝馬S、フローラS、マイラーズCが行われます。その中でも私の注目はマイラーズCに出走するソウルラッシュになります。3連勝中の勢いもですが、少し荒れてきている馬場もマッチして、安田記念まで勢いを継続できるのではないかと思っています。しかし、そこに待ったをかけたいのがカラテではないでしょうか。着実に走り、重賞も勝っているだけに、同斤量では負けられない思いもあることでしょう。
フローラSではルージュエヴァイユに注目しています。中山で2連勝していますが、脚質的にも東京コースは非常に楽しみです。あの鬼脚をここで見せてくれたら、オークスが非常に楽しみになるからです。戸崎君にとっても大事な一戦になると思っています。武史君の上昇、吉田隼人君の活躍とありますが、関東にはやはり戸崎あり!と感じさせてくれるようなレースを期待しています。こちらも“ケイタ”ッキーフライドチキンを食べて応援します!
※以前のコラムで記した勝利のキムチがきれたので発注しておきます。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。