元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ホワイトウィーク
2022/5/19(木)
皆様、こんにちは!山口県では臨時特別給付金4630万円が一人の男性に間違って振り込まれ、それを確信しながらもネットカジノで使用し返金の意志がなかったとして、24歳の男性が逮捕されました。しかし、この男性はどこまで大胆だったんだろうと感じましたね。普通の感覚なら600円ほどしか入っていなかった口座に大量のお金が振り込まれた時点で、なぜ使い切ってしまおうと思ったのか不思議でなりません。間違って振り込む方も悪いですよね。便利になればなるほど自由が広がります。しかし、それも使い方を間違えればこのような事件を巻き起こしてしまいます。自由をはき違えないで生きたいなと思いました。
それでは競馬の話をしましょう。馬券も自由に買える方法が増えてきましたが、ご購入は計画的に(笑)。東京競馬場では牝馬マイルの戦いヴィクトリアマイルが行われ、4630万をまさに実現させた“シロ3枠〇”白馬ソダシが勝利しました。中距離、ダートと多くの挑戦し、マイルに戻ってきた彼女はまさに女王にふさわしい走りをしたと思います。
ただ、メディアがソダシ復活!と書いていることが見受けられたことにはびっくりしました。競馬の世界にいればひとつ勝つことの大変さ、ましてやG1レベルを戦う厳しさを知っています。だからこそ、色々な挑戦をしていたソダシの勝利に復活と使うのは、どこか違うと思ってしまいます。もちろん、それが期待の裏返しの言葉になっているのでしょうが、どこか引っかかってしまうなと感じました。
レースを振り返りましょう。スタートからローザノワールがハナを主張するとそれに続くようにレシステンシア、レイパパレと続きました。レイパパレの川田君にとってはスタートでつまずき、予想外なレースになったと思います。そして、1コーナーの入りでは期待していたソングラインが前に引っ掛けてしまう事象も起きました。マイペースで逃げるローザノワールが手応え十分で逃げ切りを図る中、一気にソダシが交わしきると、先頭でゴールしました。
ソダシにとっては秋華賞の敗戦からダート路線で2戦の挑戦を挟み、帰ってきた得意のマイルで力を見せつけてくれました。土曜日のメイケイエールからシラユキヒメ一族が連日の勝利となりゴールデンウィークのあとには競馬のホワイトウィークとなりました。2着のファインルージュも少し絞って勝負がかった仕上げと得意のマイルで着実に結果を出した一戦だったと思います。3着レシステンシアも1年振りのマイル戦でG1馬の底力を見せました。
それでは今週の競馬の話をしましょう。東京競馬場で牝馬クラシック第2弾オークスが行われます。1番人気には負けてなお強しの競馬を桜花賞でしたサークルオブライフが選ばれると思います。ライオンキングの主題歌でもあるこの名を元に牝馬クイーンの座復権を狙います。そこに待ったをかけたいのがパールコードの仔アートハウスになるのではないでしょうか。まだまだ課題がある中でのレースとなりますが、川田君が母と果たせなかった夢を叶えたいと騎乗を決めたことと、前走の走りがラヴズオンリーユーをイメージさせたからです。
牝馬2冠を狙うスターズオンアースはルメールの2022年JRA初重賞制覇となるのかにも注目が集まります。その他では、少し馬券的においしいプレサージュリフトやパーソナルハイなどを狙うのも面白いかなと思います。一生に1度のこの戦い。2400mを制す女王はどの馬に?皆様にとって白星が続くホワイトウィークになることを願っています!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。